ここは『資本論』第3巻のなかでもかなり難所ですが、マルクスが「地代とは何か」をかなり精密に整理している重要箇所です。
ご指定の箇所は:
『資本論』第3巻
第6篇「超過利潤の地代への転化」
第43章「差額地代Ⅱ」
第3「生産価格が上昇する場合」
とくに「結論」
ですね。
まず全体像から整理して、そのあと「結論」でマルクスが何を言いたかったのかを噛み砕いて説明します。
まず前提:「差額地代Ⅱ」とは何か
マルクスの地代論には大きく:
差額地代Ⅰ
差額地代Ⅱ
絶対地代
があります。
このうち差額地代Ⅱは、
同じ土地に追加投資(追加資本)を行ったときに生じる超過利潤
を扱っています。
つまり:
土地Aに最初100投資
さらに追加で100投資
その追加投資が平均以上に儲かる
すると、その超過利潤が地主に吸い上げられ、地代になる。
これが差額地代Ⅱです。
この節のテーマ
「生産価格が上昇する場合」
ここでの「生産価格」とは、ざっくり言うと:
市場価格を決める基準価格
です。
マルクスはここで、
穀物価格が上昇したら差額地代Ⅱはどうなるか?
を分析しています。
状況設定
マルクスは次のようなケースを考えています。
人口増加などで穀物需要が増える
その結果、穀物価格が上昇する
すると以前は採算が悪かった追加投資でも利益が出る
ここが重要です。
価格上昇によって:
以前は「普通利潤しか出なかった投資」
あるいは「採算ギリギリだった投資」
が、
超過利潤を生む投資
に変わる。
すると、その超過利潤は地主のものになる。
マルクスの核心
マルクスが強調しているのは:
地代の増加は、必ずしも土地そのものの生産力向上を意味しない
という点です。
つまり、
土地が肥沃になったから地代が増える
技術革新だけで地代が増える
とは限らない。
むしろ、
穀物価格の上昇それ自体が地代を押し上げる
場合がある。
「結論」のポイント
ここでの結論はかなり重要です。
マルクスは要するに:
1. 生産価格上昇は差額地代を拡大する
と言っています。
なぜなら:
同じ収穫量でも
高い価格で売れるから
超過利潤が増える
からです。
つまり地主は:
何もしなくても価格上昇で地代収入が増える
。
2. 追加投資が地代化する
価格が高くなると、
以前なら平均利潤しか生まなかった追加投資も、
超過利潤を生む投資
になる。
するとその超過利潤は競争を通じて地主へ移転し、
地代になる。
ここで重要なのは、
資本家が生み出した利益を地主が取得する
という資本主義的土地所有の構造です。
3. 地主は価格上昇の受益者
マルクスは地主階級をかなり批判的に見ています。
なぜなら地主は:
生産に直接関与せず
労働もしない
投資もしない
のに、
社会的条件(価格上昇)だけで所得が増える
からです。
つまり地代とは:
土地所有権による「社会的徴収」
なんだ、ということ。
この章の理論的意味
この結論は、マルクスの重要なテーマにつながっています。
それは:
「土地所有は価値を生まない」
ということ。
価値を生むのは労働です。
しかし地主は、
土地独占
私的所有
によって、
他人が生み出した剰余価値の一部を取得する。
差額地代Ⅱは、そのメカニズムを示しています。
現代的に言うと
これは現代の不動産にもかなり近いです。
例えば:
都市開発
インフレ
人口集中
で土地価格が上がる。
地主は何もしていなくても:
家賃収入増
地価上昇
資産価値増
を得る。
マルクスはその構造を、
「生産ではなく所有による所得」
として分析しているわけです。
この節のエッセンスを一文で言うと
マルクスはここで、
生産価格の上昇は、追加投資から生じる超過利潤を増大させ、それを地主が地代として取得することで、土地所有の寄生的性格をいっそう明らかにする
と言っています。
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