『資本論』再学習 第4回
第1巻 第1冊 資本生産過程
第1篇 商品と貨幣
第1章 商品
第3節 価値形態または交換価値
A 単純な・個別的な・偶然的な価値形態
3 等価形態
前回までに学んだように、マルクスは価値形態を次のような交換関係で説明しました。
20 エレの亜麻布=1 着の上着20\,\text{エレの亜麻布}=1\,\text{着の上着}20エレの
亜麻布=1着の上着
この式では、亜麻布=相対的価値形態
上着=等価形態
となっています。
今回は「等価形態」とは何かを学びます。
① 等価形態とは何か
等価形態とは、
他の商品が持つ価値を表現する役割を与えられた商品の姿
です。
上の例では、
亜麻布は自分の価値を表現したい
上着はその価値を映し出す鏡になる
という関係です。
上着そのものの価値を語っているのではありません。
むしろ、
「亜麻布の価値を表すための材料」
として使われています。
② 上着の使用価値が価値の姿になる
普通なら上着は、
着るためのもの
防寒具
です。
つまり使用価値です。
ところが交換式の中では、
上着は着るためのものとしてではなく、
亜麻布と同じ価値を持つもの
として扱われます。
ここに大きな特徴があります。
普通の世界
上着 → 着るもの
価値表現の世界
上着 → 価値を表すもの
マルクスはこれを
使用価値がその反対物である価値の現象形態になる
と説明しました。
③ 具体的労働が抽象的人間労働を表す
前回学んだ「労働の二重性」がここで登場します。
上着は仕立て職人が作ります。
これは具体的労働です。
しかし交換式では、
仕立て労働そのものではなく、
人間労働一般
として扱われます。
つまり
織布労働
仕立て労働
の違いが消え、
両方とも
「人間の労働力支出」
として理解されるのです。
④ 私的労働が社会的労働になる
資本主義社会では生産者は独立しています。
織物職人
仕立て職人
は別々に生産します。
しかし交換が成立すると、
社会は
「その労働は必要だった」
と認めます。
つまり
私的労働 → 社会的労働
へ転化します。
⑤ 等価形態の三つの特徴
マルクスは等価形態の特徴を三つ挙げています。
第1の特徴
使用価値が価値を表現する
上着は衣服でありながら、
価値の姿として現れる。
第2の特徴
具体的労働が抽象的人間労働を表現する
仕立て労働が、
人間労働一般を代表する。
第3の特徴
私的労働が直接社会的労働になる
交換によって社会的承認を得る。
⑥ なぜ重要なのか
等価形態は後に貨幣へ発展します。
最初は
亜麻布=上着
でした。
やがて
亜麻布=茶
亜麻布=牛
亜麻布=鉄
など様々な商品が等価物になります。
さらに発展すると、
たった一つの商品が
すべての商品の価値を表すようになります。
それが貨幣です。
最終的には
20 エレの亜麻布=2 gの金20\,\text{エレの亜麻布}=2\,\text{gの金}20エレの亜麻布=2gの金
となります。
ここで金が一般的等価物となり、
貨幣へ発展するのです。
現代社会との比較
例えばスマートフォンを考えてみましょう。
スマホ
自動車
パソコン
は全く異なる商品です。
しかし市場では
「○万円」
という価格で比較できます。
これは貨幣(円)が一般的等価物になっているからです。
私たちは普段、
スマホ=15万円
と見ていますが、
実はその背後には
人間労働
価値
等価形態
という関係が隠れています。
マルクスはその秘密を解明しようとしたのです。
漫画風まとめ
👨🌾「20エレの亜麻布を作ったぞ!」
🧥「私は上着だよ」
👨🌾「私の商品の価値を表してくれ!」
🧥「了解!私は価値の鏡になります!」
✨ 亜麻布=相対的価値形態
✨ 上着=等価形態
✨ 使用価値が価値を表現
✨ 具体的労働が抽象的人間労働を表現
✨ 私的労働が社会的労働として承認される
➡️ この発展の先に「貨幣」が誕生する!
これが第3節A「3 等価形態」の核心です。次回の「B 全体的または展開された価値形態」では、なぜ一つの商品だけでは価値表現が不十分なのか、そして価値形態がどのように発展して貨幣へ近づいていくのかを学びます。
