📖『資本論』再学習 第27回
第1巻 第1冊 資本生産過程
第3篇 絶対労働日
第2節 剰余労働に対する渇望。工場主とボヤール
この節では、マルクスは**「資本家は利益(剰余価値)を得るために、どこまでも労働時間
を延ばそうとする」**という資本主義の本質を、19世紀イギリスの工場主と東ヨーロッパ
のボヤール(大地主)の事例を比較しながら説明しています。
① 剰余労働とは
前節で学んだように、
必要労働=労働者自身の生活費を生み出す時間
剰余労働=資本家の利益になる時間
です。
例えば1日12時間働き、
6時間が必要労働
残り6時間が剰余労働
なら、
資本家は**「もっと利益を増やしたい」**と考え、
「13時間、14時間働かせよう」
とします。
これが
剰余労働に対する渇望
です。
② 資本家は労働力そのものを使い尽くそうとする
マルクスは、
資本家は労働者を人間として見るのではなく、
「利益を生み出す商品」
として扱う傾向があると述べます。
つまり、
労働者が健康を失っても、
寿命が縮んでも、
利益が増えればよい
という考え方が資本の論理だと批判します。
③ イギリスの工場主
産業革命期のイギリスでは、
工場主は
子ども
女性
男性
まで長時間働かせました。
当時は
14時間
16時間
時には18時間近く
働かされることもありました。
その結果、
病気
過労
事故
子どもの成長障害
が社会問題となりました。
そのため政府は
工場法
を制定し、
労働時間を制限するようになります。
④ ボヤールとは
ボヤールとは、
昔の
ロシア
ルーマニア
モルダビア
などに存在した
大地主・貴族
です。
彼らは農民を支配し、
農民に
無償で働かせる
「賦役(ふえき)労働」
を課していました。
つまり、
農民は
自分の畑より、
地主の畑を優先して耕さなければならなかったのです。
⑤ 工場主とボヤールは似ている
マルクスは、
イギリスの工場主も、
東欧のボヤールも、
結局は
「他人の労働をできるだけ多く取り上げようとする」
という点では同じだと言います。
違うのは、
工場主は賃金を払う
ボヤールは農奴に無償労働を強いる
という形式だけです。
どちらも目的は
剰余労働を最大限に取り込むこと
でした。
⑥ 資本家はなぜ労働日を延ばしたがるのか
利益は
剰余労働
から生まれます。
だから
10時間より12時間
12時間より14時間
働かせた方が
利益が増えます。
これが
資本主義の内部にある
終わりのない利益追求
なのです。
⑦ 労働者は抵抗する
しかし、
人間には
睡眠
食事
家族との時間
健康
が必要です。
そのため、
労働者は
労働日短縮
を要求します。
この対立が、
工場法や労働運動を生み出しました。
🌟 この節のポイント
✅ 資本家は利益を増やすため剰余労働をできるだけ長くしようとする。
✅ 労働者は人間ではなく「利益を生む労働力」として扱われがちである。
✅ イギリスの工場主は長時間労働を強いた。
✅ ボヤールは農民に無償労働を課していた。
✅ 両者に共通するのは「他人の労働をできるだけ多く取得したい」という点である。
✅ 労働日の長さをめぐる争いは資本主義社会の基本的な矛盾である。
📝学習のまとめ
この第2節でマルクスが最も伝えたかったことは、資本には剰余労働を際限なく拡大しようとする内在的な力があるという点です。工場主とボヤールは時代や制度は異なりますが、「他人の労働から自らの
利益を得ようとする」という構造は共通しています。そのため、労働時間は自然に適正な
長さへ落ち着くのではなく、労働者の抵抗や法律による規制を通じて初めて制限されると、
マルクスは論じています。これは第8章全体の中心テーマであり、後に続く工場法や労働者
保護の議論へとつながっていきます。

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