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2026年9月5日土曜日

 『資本論』再学習 第80回 第1巻 第1冊「資本の生産過程」 第7篇「資本の蓄積過程」 第23章「資本主義的蓄積の一般法則」 第5節資本主義的蓄積の一般法則の例解a1846年から1866年のイギリス

 




📘『資本論』再学習 第80回

第1巻 第1冊「資本の生産過程」

第7篇「資本の蓄積過程」

第23章「資本主義的蓄積の一般法則」

第5節「資本主義的蓄積の一般法則の例証」

1846年から1866年のイギリス

1.今回のテーマ

第5節では、マルクスが第23章で説明してきた「資本主義的蓄積の一般法則」が、実際の

イギリス社会でどのように現れたのかを、統計資料や社会状況を使って示します。

この時期のイギリスは、産業革命が進み、工場・鉄道・貿易・機械工業が大きく発展し

ました。

一見すると、国全体が豊かになり、労働者の生活も改善したように見えます。しかし、

マルクスはその裏側にある貧困や過酷な労働に注目しました。


2.資本の急速な蓄積

1846年から1866年にかけて、イギリスでは次のような産業が拡大しました。

  • 紡績・織物工業
  • 石炭・鉄鋼業
  • 鉄道建設
  • 機械工業
  • 海運・国際貿易

企業は、労働者が生み出した剰余価値を再び機械や工場に投資しました。

その結果、生産規模は拡大し、資本家の富は増加していきました。

しかし、資本の成長が、そのまま労働者の幸福につながったわけではありません。


3.富の増加と貧困の併存

この時期のイギリスでは、国富や企業利益が増えた一方で、労働者階級には次の問題

がありました。

  • 低賃金
  • 長時間労働
  • 劣悪な工場環境
  • 失業の不安
  • 住宅不足
  • 子どもや女性の過酷な労働
  • 病気や労働災害

つまり、社会全体の富が増加しても、その富が労働者に均等に分配されたわけではあり

ません。

マルクスはここに、資本主義の大きな矛盾を見ました。

富が増えるほど、貧困も同時に生み出される。

これが「資本主義的蓄積の一般法則」の実例です。


4.労働者が豊かになったように見える場合

産業が好況になると、労働者の賃金が一時的に上昇することがあります。

しかし、マルクスは、賃金が上がったとしても問題が解決したとは考えませんでした。

なぜなら、次のような変化が起きるからです。

①労働の強度が高まる

機械の速度が上がり、労働者は以前より多くの仕事をこなさなければならなくなります。

②労働時間が延びる

企業は、より多くの剰余価値を得るため、労働時間を長くしようとします。

③生活費も上昇する

都市化が進むと、家賃や食費などが増え、賃金上昇の効果が小さくなることがあります。

④失業者が存在する

産業が発展しても、機械化によって労働者が余剰となり、失業者が生み出されます。

そのため、働いている労働者も、失業の恐怖から企業の要求に従わざるを得なくな

ります。


5.鉄道建設と労働者の犠牲

この時期、イギリスでは鉄道建設が急速に進みました。

鉄道は社会の発展に大きく貢献しましたが、その建設現場では多くの労働者が非常に

厳しい条件で働きました。

  • 不安定な雇用
  • 危険な作業
  • 低い賃金
  • 遠隔地での長時間労働
  • 労働災害
  • 失業後の生活困難

鉄道や工場などの巨大な設備は、資本家にとっては利益を生む資産です。

一方、労働者にとっては、自分の労働力を売らなければ生活できない場所でもあり

ました。


6.産業予備軍の役割

マルクスは、失業者や半失業者を「産業予備軍」と呼びました。

産業予備軍は、企業にとって次のような役割を持ちます。

  1. 好況時には労働力をすぐ補充できる
  2. 不況時には大量に解雇できる
  3. 働いている労働者の賃金要求を抑えられる
  4. 労働者同士を競争させられる

つまり、失業者の存在は、資本主義にとって偶然の失敗ではなく、企業が労働力を安

く利用するための仕組みと結びついているのです。


7.アイルランドの事例

マルクスは、イギリスだけでなくアイルランドの状況にも注目しました。

アイルランドでは、農業や土地所有の問題によって、多くの人々が貧困に苦しんでい

ました。

土地を追われた農民がイギリスへ移住すると、都市部では低賃金労働者が増えます。

これはイギリスの労働者にも影響を与えました。

労働力の供給が増えることで、企業はより低い賃金で労働者を雇いやすくなったからです。

このように、資本主義は一国だけでなく、国際的な労働者の移動を通じても、労働者間

の競争を強めました。


8.資本主義の基本的な矛盾

第5節で示される重要な矛盾は、次の通りです。

資本主義の発展労働者側に起きること
工場が増える労働者の長時間労働
機械が進歩する労働者の失業・仕事の単純化
生産量が増える商品を買えない貧困層の増加
資本家の利益が増える富の格差が拡大
産業が発展する産業予備軍が形成される

社会の生産力は高まっているのに、多くの人々の生活は不安定なままです。

ここに、資本主義的生産の根本的な矛盾があります。


9.今回のまとめ

1846年から1866年のイギリスでは、産業と資本が急速に成長しました。

しかし、その発展は次のような犠牲を伴っていました。

  • 資本家の富の増大
  • 労働者の長時間・過酷労働
  • 失業者の増加
  • 労働者同士の競争
  • 貧富の格差
  • 生活の不安定化

マルクスが示したのは、単なる「貧しい人がいる」という事実ではありません。

資本が蓄積される仕組みそのものが、労働者の貧困や失業を生み出すということです。

✅今回の重要ポイント

  • 1846~1866年、イギリス資本主義は急速に発展した
  • 国富が増えても、労働者全体が豊かになったわけではない
  • 機械化・長時間労働・低賃金が広がった
  • 失業者は「産業予備軍」として存在した
  • 資本の蓄積と労働者の貧困が同時に進んだ
  • これが資本主義的蓄積の一般法則の実例である

一言でいうと

産業が発展し資本家が富を増やすほど、その裏側で労働者の不安定な生活と貧困も再生産された。


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