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2025年12月20日土曜日

『資本論』の学習第99回第1巻 第3篇「絶対的剰余価値の生産」第9章剰余価値の率と総量

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『資本論』第1巻 第3篇「絶対的剰余価値の生産」第9章「剰余価値の率と総量」**の学習用解説です。


資本論 第1巻

第3篇 第9章「剰余価値の率と総量」解説

この章では、資本家がどれだけ労働者から搾取しているかを

  • 「割合」で見る視点(剰余価値率)

  • 「量」で見る視点(剰余価値の総量)
    の2つを明確に区別して分析します。


1. 剰余価値率とは何か(搾取の度合い)

基本定義

  • 剰余価値率

  • 剰余価値率=剰余価値可変資本

  • 剰余価値率=

  • 可変資本

  • 剰余価値

意味

  • 労働者が

    • 自分の生活費を再生産するために必要な労働時間(必要労働)

    • 無償で資本家のために働く時間(剰余労働)
      を、どれだけの比率で行っているかを示す

👉 搾取の強度・度合いを表す指標


  • 労働日:8時間

  • 必要労働:4時間

  • 剰余労働:4時間

→ 剰余価値率 = 100%


2. 剰余価値の総量とは何か(搾取の大きさ)

定義

  • 剰余価値の総量
    = 個々の労働者が生む剰余価値 × 労働者数

👉 資本家階級全体がどれだけ剰余価値を得るかを示す


重要なポイント

  • 剰余価値率が同じでも、労働者数が増えれば剰余価値の総量は増える

  • 逆に、剰余価値率が低くても、労働者が大量なら総量は大きくなる


3. 剰余価値率と総量の関係(この章の核心)

マルクスの主張

剰余価値率と剰余価値の総量は、必ずしも一致しない


比較例

状況

剰余価値率

労働者数

剰余価値総量

A

高い

少ない

中程度

B

低い

多い

大きい

👉 搾取の「激しさ」と「規模」は別問題


4. 絶対的剰余価値との関係

第3篇全体のテーマは 絶対的剰余価値 です。

絶対的剰余価値の増大方法

  1. 労働日の延長

  2. 労働者数の増加

第9章では特に②が強調されます。

👉

  • 労働日を延ばせなくても

  • 労働者を増やせば
    剰余価値の総量は増やせる


5. 可変資本の限界という重要な指摘

  • 剰余価値は 生きた労働 からしか生まれない

  • したがって

    • 可変資本(賃金に投じられる資本)が増えなければ

    • 剰余価値の総量も増えない

👉
どんなに機械(不変資本)を増やしても、剰余価値は直接には生まれない


6. この章の理論的意義

マルクスがここで明らかにしたこと

  • 「高賃金=搾取が少ない」は必ずしも正しくない

  • 「搾取の強度」と「資本家の利得」は区別して考える必要がある

  • 資本主義の拡大は

    • 労働時間

    • 労働人口
      に依存している


7. 学習のポイント(要約)

  • 剰余価値率
    → 労働者1人あたりの搾取の度合い

  • 剰余価値の総量
    → 資本家が得る搾取の総額

  • 両者は一致しない

  • 絶対的剰余価値の拡大には

    • 労働日の延長

    • 労働者数の増加
      がある



(記号はマルクス自身の用法に沿います)


資本論 第1巻

第9章:数式による理論構造


1. 基本記号と前提

まず、分析に使う基本変数を定義します。

  • c

  • c:不変資本(機械・原料など)

  • v

  • v:可変資本(賃金)

  • m

  • m:剰余価値

  • L

  • L:労働日(1日の総労働時間)

  • Ln

  • L

  • n

  • :必要労働時間

  • Ls

  • L

  • s

  • :剰余労働時間

  • L=Ln+Ls

  • L=L

  • n

  • +L

  • s


2. 剰余価値の生成関係

労働時間と価値の対応

  • 必要労働時間 

  • Ln

  • L

  • n

  •  → 可変資本 

  • v

  • v を再生産

  • 剰余労働時間 

  • Ls

  • L

  • s

  •  → 剰余価値 

  • m

  • m を生産

よって比例関係として:

mv=LsLn

v

m

=

L

n

L

s

これが剰余価値率の本質的定義です。


3. 剰余価値率(rate of surplus value)

定義

m′=mv

m

=

v

m

労働時間による表現

m′=LsLn

m

=

L

n

L

s

👉

  • 剰余価値率とは
    「無償労働時間が有償労働時間に対してどれだけあるか」
    を示す指標である。


例1(標準的ケース)

  • 労働日:

  • L=8

  • L=8

  • 必要労働:

  • Ln=4

  • L

  • n

  • =4

  • 剰余労働:

  • Ls=4

  • L

  • s

  • =4

m′=44=100%

m

=

4

4

=100%


4. 剰余価値の総量(mass of surplus value)

ここで第9章の核心に入ります。

単一労働者の場合

m=m′⋅v

m=m

v


労働者数を導入する

  • 労働者数:

  • N

  • N

  • 社会的総可変資本:

  • V=N⋅v

  • V=Nv

すると、

M=N⋅m=m′⋅V

M=Nm=m

V

これが剰余価値の総量です。


5. 剰余価値率と総量の非一致性

重要命題(第9章の結論)

m′

m

 が一定でも、

V

V が変われば 

M

M は変化する

m′

m

 が低くても、

V

V が大きければ 

M

M は大きくなる


数式での比較

ケースA(高搾取・小規模)

  • m′=200%

  • m

  • =200%

  • V=50

  • V=50

MA=2.0×50=100

M

A

=2.0×50=100

ケースB(低搾取・大規模)

  • m′=50%

  • m

  • =50%

  • V=300

  • V=300

MB=0.5×300=150

M

B

=0.5×300=150

👉
搾取率は低くても、剰余価値総量はBの方が大きい


6. 絶対的剰余価値の数式的把握

労働日の延長

必要労働 

Ln

L

n

 を一定とすると、

L↑⇒Ls↑⇒m′↑

L↑⇒L

s

↑⇒m


労働者数の増加

N↑⇒V↑⇒M↑

N↑⇒V↑⇒M

👉
第9章では特に後者が強調される。


7. 可変資本の制約条件

剰余価値総量の上限

M=m′⋅V

M=m

V

よって、

  • V=0⇒M=0

  • V=0⇒M=0

  • 不変資本 

  • c

  • c の増加だけでは 

  • M

  • M は増えない

👉
剰余価値は「生きた労働」にのみ依存する


8. 本章の論理構造まとめ(数式版)

  1. 剰余価値率

  2. m′=LsLn

  3. m

  4. =

  5. L

  6. n

  7. L

  8. s

  9. 剰余価値総量

  10. M=m′⋅V

  11. M=m

  12. V

  13. 結論

    • 搾取の「度合い」= 

    • m′

    • m

    • 搾取の「規模」= 

    • M

    • M

    • 両者は独立に変動しうる


9. 理論的意義(厳密に言えば)

第9章は、

  • **ミクロ(労働者1人)**と

  • マクロ(社会的資本)
    を結びつける数理的橋渡しを行っている章です。

これにより次の篇で扱われる

  • 相対的剰余価値

  • 資本の集積・集中
    への理論的準備が完成します。

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