follow me

 



2026年2月24日火曜日

『資本論』の学習第175回第2巻資本の流通過程第2 扁資本の回転第10章固定資本と流動資本にかんする諸理論。重農学者とアダム・スミス

 







『資本論』第2巻・第2篇「資本の回転」第10章「固定資本と

流動資本にかんする諸理論」

において、重農学者とアダム・スミスがどのように扱われ、**資本論

著者カール・マルクス**が何を批判・継承しているのかを整理して解説します。


第10章の位置づけ(要点)

この章は、固定資本と流動資本の区別がどのように形成され、どこに理論

的混乱が生じたかを、先行理論(重農学派、スミス)への批判的検討を通じて明

らかにします。焦点は

  • 資本の使用寿命・回転様式(長期にわたって機能するか/一度で価値移転するか)

  • 価値移転の仕方(部分的・段階的か/一挙か)
    です。


1.重農学者(重農学派)の理論

重農学派(中心人物:フランソワ・ケネー)は、18世紀フランスで成立し、農業のみが「純生産物(剰余)」を生むと考えました。

固定資本・流動資本の理解

  • 固定資本:農具・家畜・農業施設など、複数年にわたり生産に奉仕する手段。

  • 流動資本:種子・賃金・肥料など、1回の生産過程で消費される投入。

マルクスの評価と批判

  • 評価:

    • 生産過程を社会的・循環的に捉え、資本の再生産・回転という視点を先駆的

    • に提示(『経済表』)。

  • 批判:

    • 剰余を農業に限定し、工業・商業を「不生産」とした点は歴史的制約。

    • 固定/流動の区別が、価値移転の一般理論としては未成熟。

要するに、区別の萌芽はあるが、一般化に失敗している、とマルクスは見ます。


2.アダム・スミスの理論

**アダム・スミス**は『国富論』で固定資本・流動資本を体系的に論じ、後世に大きな影響を与えました。

固定資本・流動資本の定義(スミス)

  • 固定資本:
    機械・建物・改良された土地・熟練(人的資本)など、所有者のもとに留まりなが

  • ら利潤を生むもの。

  • 流動資本:
    原材料・賃金・在庫商品・貨幣など、流通を通じて姿を変えながら利潤を生むもの。

マルクスの批判(核心)

  • 生産過程と流通過程の混同:
    スミスは「市場で移動するかどうか」を基準にし、価値がどのように生産物へ

  • 移転するかという核心を曖昧にした。

  • 人的能力を固定資本に含める問題:
    労働力(労働者の能力)と資本の物的形態を混同。

  • 理論的不整合:
    固定/流動の区別が、回転時間・価値移転という分析軸に一貫して結びついていない。

マルクスにとって、スミスは区別を広めた功績はあるが、分析基準が不明確で理論を

混乱させた存在です。


3.マルクス自身の整理(結論)

マルクスは先行理論を踏まえ、次の基準で明確化します。

  • 固定資本:
    生産手段のうち、長期間使用され、価値が部分的・段階的に生産物へ移転するもの

  • (機械・建物など)。

  • 流動資本:
    1回の生産過程で全価値を生産物に移転するもの(原材料・補助材料・労働力に

  • 支出される可変資本部分)。

→ 決定的基準は、「流通するか否か」ではなく「価値移転と回転の様式」。


まとめ(比較表的要点)

  • 重農学派:区別の萌芽/農業中心で一般化不足

  • アダム・スミス:区別を普及/基準混乱(流通基準・人的資本の扱い)

  • マルクス:回転時間と価値移転に基づく科学的定式化





0 件のコメント:

コメントを投稿

注目

『資本論』の学習第234回第3巻資本主義的生産の総過程第1部第5篇利子と企業者利得地への利潤の分割。 利子付き資本第25 章 信用と空資本

  5 資本論第3巻第5篇・第25章「信用と空資本」は、資本主義が高度に発展した段階で現れる** 金融の仕組みと“見かけの資本”**を分析する重要な章です。少し抽象的ですが、現代の株式市場 やバブル経済を理解する鍵にもなります。 ■ 全体のテーマ この章の核心はシンプルに言うと:...

また来てね