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2026年2月25日水曜日

『資本論』の学習第176回第2巻資本の流通過程第2 扁資本の回転第11章固定資本と流動資本に関する諸理論。 リカード

 

『資本論』第2巻「資本の流通過程」第2篇 資本の回転、**第11章「固定資本と流動資本に関する諸理論」**における、**リカード(David Ricardo)**に関する解説です。章の文脈に即して整理します。


1. 前提:この章の狙い

この第11章で**Karl Marxは、
古典派経済学(とくにDavid Ricardo)が
固定資本と流動資本**をどのように理解し、どこで理論的に混乱したかを批判的に検討します。

ポイントは、

  • 固定/流動という形態規定(回転様式)

  • 利潤・価値・分配理論との混同
    を暴き出すことにあります。


2. リカードの固定資本・流動資本理解

リカードはおおむね次のように区別しました。

  • 固定資本
    機械・建物・農具など、長期間使用され、徐々に価値を生産物へ移転するもの

  • 流動資本
    原材料・賃金など、一生産過程で消費され、価値が一挙に生産物に移るもの

👉 この区別自体は、マルクスも基本的には正しい出発点だと認めています。


3. マルクスの批判①:回転規定の不徹底

マルクスによれば、リカードは

  • 固定/流動資本の違いを
    **「耐久性」「物的性質」**の違いとして理解しがちで、

  • 本質である
    「価値がどのような時間構造で回転・回収されるか」
    を十分に理論化できていない。

たとえば、

  • 同じ「機械」でも
    使用期間・回転期間の違いによって資本回転への影響は異なる

  • しかしリカードは
    回転時間と価値形成の関係を体系的に扱わなかった

👉 これが、のちの混乱の温床になります。


4. マルクスの批判②:固定/流動と可変/不変の混同

より重大なのはここです。

リカードの傾向

  • 流動資本 ≒ 労働(賃金)を含む資本

  • 固定資本 ≒ 機械・道具(不変資本)

という対応関係を、暗黙のうちに重ねてしまう

マルクスの指摘

  • 固定/流動資本
    資本の回転様式の違い

  • 可変/不変資本
    剰余価値を生むか否かという価値増殖の区別

この2つは理論的に別次元であり、

  • 固定資本でも不変資本

  • 流動資本の中に可変資本(賃金)も不変資本(原材料)も含まれる

👉 リカードはこの区別を明確にしなかった。


5. 利潤率論との混乱

リカードは、

  • 固定資本の比重が高まると

  • 利潤率がどう変動するか

を論じますが、ここでも問題が生じます。

問題点

  • 利潤率の変化を
    固定資本の量的増減で説明しようとする

  • しかし実際には
    回転速度・価値移転の時間構造が決定的

マルクスはここで、

利潤率の問題を解くには、
固定資本の「存在」ではなく
回転の仕方を見なければならない
と批判します。


6. マルクスの総括的評価

マルクスはリカードを単純に否定していません。

高く評価する点

  • 労働価値説を一貫して追求

  • 利潤・賃金・地代の関係を理論化

しかし限界として

  • 資本の**運動過程(回転・流通)**を軽視

  • 形態規定(固定/流動)と
    価値規定(可変/不変)の混同

  • その結果、
    利潤率論・分配論に理論的歪みが残った


7. この章におけるリカードの位置づけ

第11章におけるリカードは、

  • 古典派経済学の最高到達点

  • しかし同時に
    資本の回転理論を欠いたために超えられなかった限界

を体現する理論家として扱われています。


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