『資本論』の学習第215回第3巻資本主義的生産の総過程第1部第1扁剰余価値の
利潤への転化と剰余価値率の利潤率への転化第6章価格変動の影響第
3節一般的例証ー1861-1865年の綿花恐慌
前史1845-1860年
1861-1864年。アメリカ南北戦争。綿花飢饉。原料の欠乏と騰貴とによる生産過程中断の最大の実例
資本論第3巻・第6章第3節で扱われる「綿花恐慌(Cotton Famine)」は、資本主義の利潤率が価格変動や原料供給のショックによってどう揺さぶられるかを示す、非常に典型的な歴史例です。以下、流れを整理して解説します。
① 前史(1845–1860年):繁栄と依存の拡大
まず背景として、イギリスの綿工業(特にマンチェスター)はこの時期に急成長しました。
原料の大半を
→ アメリカ合衆国南部から輸入奴隷制プランテーションによる安価で大量の綿花供給
機械化(紡績・織布)の進展で生産力が飛躍的上昇
👉 結果
低コスト+大量生産+輸出拡大=高利潤率
しかし同時に
→ 単一供給源への極端な依存が進行
マルクスの視点ではここで既に
👉「資本主義の内在的脆弱性(外部条件への依存)」が準備されていた
② 1861–1865年:南北戦争と綿花飢饉
アメリカ南北戦争が勃発すると状況は一変します。
● 何が起きたか
南部からの綿花輸出が停止(北軍の封鎖)
原料供給が激減
● 結果:綿花価格の急騰
原料価格:数倍に高騰
しかし製品価格はそれほど上がらない(市場制約)
③ 生産過程の中断(マルクスの核心ポイント)
マルクスが「最大の実例」と呼ぶのはここです。
● 工場の現実
原料がない → 機械が止まる
労働者は失業・部分就業
工場閉鎖が続出
👉 つまり
資本(機械・工場)は存在しても、生産できない
④ 利潤率への影響(理論的ポイント)
マルクスの議論の核心は:
● 通常
利潤率 = 剰余価値 ÷ 総資本
● 綿花恐慌時
原料価格 ↑ → 投下資本(特に可変資本+原材料部分)↑
生産量 ↓ → 剰余価値 ↓
👉 結果
利潤率は急落、あるいはゼロ・マイナス
⑤ 重要な理論的示唆
1. 価格変動は利潤率を直接揺るがす
技術や搾取率が同じでも
→ 原料価格だけで利潤率は変動
2. 生産は「連続過程」である
資本主義は以下が連結しています:
原料供給
生産
販売
👉 一つでも切れると
全体が停止する
3. 資本主義の矛盾
この事例が示すのは:
高度な工業社会なのに
原料不足で簡単に崩壊
👉 マルクス的には
「社会的生産」と「私的資本」の矛盾」
4. 労働者への影響
大量失業(ランカシャーで数十万人)
救貧に依存
👉 利潤率の問題は
直接的に生活問題へ転化
⑥ マルクスがこの例を使う理由
この綿花恐慌は単なる歴史ではなく:
👉 理論の実証例
彼が示したかったのは:
利潤率は「剰余価値率だけでは決まらない」
価格(特に原料価格)の変動が決定的に重要
まとめ(超要点)
1845–60:綿工業の繁栄とアメリカ依存
1861–65:南北戦争 → 原料途絶
綿花価格高騰 → 生産停止
剰余価値 ↓ + 投下資本 ↑ → 利潤率崩壊
👉 結論
資本主義は外部条件(市場・供給)に強く依存し、そこに構造的な不安定性がある
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