資本論 第3巻のこの部分は、「利潤率は長期的には低下する傾向があるが、それに
“逆らう力”も同時に働く」という話の中核です。
第14章はその“逆らう力(反対に作用する諸要因)”を扱っていて、ご質問の2つは
その中でも特に重要なポイントです。
◆ 全体の位置づけ(まずここを押さえる)
マルクスは第13章で
👉 利潤率は下がる(資本の有機的構成の高度化)
と述べました。
しかし現実には
👉 ずっと下がり続けるわけではない
そこで第14章では
👉 利潤率低下を食い止める要因
を説明します。
◆ 第1節:労働の搾取度の上昇
(=労働者からより多くの剰余価値を取り出す)
● ポイント
👉 労働者1人から得る利益を増やすことで、利潤率低下を打ち消す
● どうやって搾取度が上がるか
① 労働時間の延長
- 例:8時間 → 10時間
- 余分な2時間がそのまま資本家の利益(剰余労働)
👉 「絶対的剰余価値」
② 労働の強度の上昇
- 同じ時間でも仕事量を増やす
- スピードアップ・ノルマ増加
👉 実質的に労働時間を延ばしたのと同じ
③ 必要労働時間の短縮
- 生活必需品が安くなる(生産性上昇)
- 同じ賃金でも生活費が減る
👉 労働者の再生産に必要な時間が短くなる
👉 残りが剰余労働になる
👉 「相対的剰余価値」
● まとめ(ここ重要)
👉 搾取度↑ → 剰余価値率↑ → 利潤率の低下を抑える
◆ 第2節:労働賃金の価値以下への引き下げ
● ポイント
👉 本来支払うべき賃金よりも低く抑えることで利益を増やす
● 「労働力の価値」とは?
マルクスによると:
👉 労働者が生活し再生産するのに必要な費用
(食料・住居・教育など)
● それ以下に下げるとは?
例えば:
- 本来:月20万円必要
- 実際:15万円しか払わない
👉 差額5万円が資本家の取り分になる
● どうやって実現されるか
① 失業者の存在(産業予備軍)
- 代わりはいくらでもいる
👉 賃金を下げても働かざるを得ない
② 労働組合の弱体化
👉 賃下げに抵抗できない
③ 女性・児童労働の利用
👉 より低賃金で労働力を供給
④ 国際的な賃金格差
👉 安い労働力の地域へ移転
● マルクスの重要な指摘
👉 これは「理論上の標準」からの逸脱
👉 しかし現実では頻繁に起こる
◆ 2つの違い(超重要)
| 項目 | 搾取度の上昇 | 賃金の価値以下への引き下げ |
|---|---|---|
| 本質 | 剰余労働を増やす | 必要労働を削る |
| 方法 | 労働時間・強度・生産性 | 賃金そのものを削減 |
| 理論的位置 | 正常な資本主義の運動 | 例外・逸脱的現象 |
◆ マルクスの核心メッセージ
この2節をまとめると:
👉 資本主義は利潤率低下に対抗するために
👉 労働者への圧力を強める
つまり:
- より長く働かせる
- より激しく働かせる
- より低く支払う
◆ 現代的に言うと
この議論は今でもかなりリアルです:
- 長時間労働
- 非正規雇用
- 低賃金労働
- グローバル outsourcing
👉 すべて「反対要因」の具体例と見なせる
◆ まとめ(シンプルに)
- 利潤率は下がる傾向がある
- しかし資本はそれに対抗する
- その代表がこの2つ:
👉 搾取を強める
👉 賃金を押し下げる
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