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2026年4月7日火曜日

『資本論』の学習第218回第3巻資本主義的生産の総過程第1部第2扁利潤の平均利潤への転化第8章相異なる生産部門における資本の不等な組成とそれから生ずる利潤率の不等 生産価格とは何か

 





カール・マルクスの 資本論 第3巻・第1部・第2篇・第8章は、かなり核心的なテーマで、

「なぜ産業ごとに条件が違うのに利潤率は均等化するのか?」を説明する章です。順を

追ってわかりやすく解説します。


◆ 1. 問題設定:産業ごとに資本の中身が違う

マルクスはまず、「資本の構成(中身)」に注目します。

資本は大きく2つに分かれます:

  • 不変資本(c):機械・原料など(価値をそのまま移す)

  • 可変資本(v):労働力(新しい価値を生む)

そして重要なのが:

👉 剰余価値(m)は労働(v)からしか生まれない


◆ 2. 資本の「有機的構成」の違い

産業によって、この c と v の割合が違います。

  • 機械化された工業:
    → cが多い、vが少ない(高い構成)

  • 手工業・サービス:
    → vが多い(低い構成)


◆ 3. ここで矛盾が発生する

マルクスの理論だと:

👉 労働(v)が多いほど剰余価値(m)が多くなる

つまり本来は:

  • 労働集約産業 → 利潤率が高い

  • 機械化産業 → 利潤率が低い

になるはず


◆ 4. しかし現実はそうなっていない

実際の資本主義では:

👉 産業間で利潤率はだいたい均等化する

ここが重要な「現実とのズレ」です。


◆ 5. なぜ利潤率は均等になるのか?

答えは:

👉 資本の移動(競争)

資本家はこう動きます:

  • 利潤率が高い産業へ資本が流入

  • 利潤率が低い産業から資本が流出

その結果:

  • 供給が増えて価格が下がる(高利潤産業)

  • 供給が減って価格が上がる(低利潤産業)

👉 最終的に 利潤率が平均化される


◆ 6. ここで「平均利潤」が登場

このプロセスの結果:

👉 各資本は「自分が生み出した剰余価値」ではなく
👉 社会全体の平均利潤を受け取るようになる


◆ 7. 重要な結論(この章の核心)

この章のポイントはこれです:

✔ 利潤は個別の労働量から直接決まらない

✔ しかし最終的な源泉は依然として労働である

つまり:

  • 表面:資本に応じて利潤が配分される

  • 本質:労働がすべての利潤を生んでいる


◆ 8. まとめ(シンプルに)

この章を一言でいうと:

👉 「違う構成の資本でも、競争によって利潤率は平均化される」

そして:

👉 その結果、価値と価格のズレ(後の生産価格)が生まれる


◆ 9. 次の章とのつながり

この議論は次にこう発展します:

  • 第9章:平均利潤の形成

  • 第10章:生産価格

つまりこの第8章は:

👉 「平均利潤理論の出発点」


◆ 補足(理解のコツ)

この章で混乱しやすいポイント:

  • 「価値」と「価格」は同じではない

  • 「利潤」は見かけ上は資本から生じるように見える

  • でも本質は労働にある


もしよければ、このあと
👉「生産価格って結局なに?」
👉「価値と価格のズレを図で説明して」
などもかなり重要なので、そこも解説できます。


「生産価格って結局なに?」


いい質問です。『資本論』第3巻で一番つまずきやすく、同時に一番重要な概念が「生産価格」です。


◆ 生産価格とは何か(結論)

👉 コスト(費用価格)+平均利潤
これが「生産価格」です。


◆ 1. まず「価値」との違い

資本論 ではまず「価値」はこう定義されます:

  • 価値 = c(不変資本)+ v(可変資本)+ m(剰余価値)

しかし現実の市場では:

👉 商品はこの「価値どおり」には売れない


◆ 2. なぜズレるのか?

理由は前章の内容:

👉 利潤率が平均化するから

資本家はこう考えます:

  • 「自分がどれだけ労働を搾取したか」ではなく

  • 「投下資本に対してどれだけ儲かるか」


◆ 3. 生産価格の式

生産価格はこうなります:

👉 生産価格 = 費用価格(c+v)+ 平均利潤

ここで重要:

  • 利潤は「自分の工場で生んだm」ではない

  • 社会全体から分配された平均値


◆ 4. イメージで理解する

3つの産業があるとします:

産業

構成

本来の剰余価値

A(労働多い)

v多い

m多い

B(普通)

中間

中間

C(機械多い)

c多い

m少ない

本来なら:

  • Aが一番儲かるはず

でも実際は:

👉 利潤は均等化される

結果:

  • A:もらいすぎていた分を減らす

  • C:足りない分を補われる

👉 こうして価格が調整されたものが「生産価格」


◆ 5. つまり何が起きている?

超シンプルに言うと:

👉 価値が「再分配」されている

  • 労働集約産業 → 一部を手放す

  • 資本集約産業 → 受け取る


◆ 6. 超重要ポイント

✔ 商品は「価値」ではなく「生産価格」で売られる

✔ でも総体としては価値法則は生きている

マルクスの主張はここ:

👉 表面では価値法則は崩れて見える
👉 しかし深いところでは支配している


◆ 7. よくある誤解

❌「価値理論は間違い」
→ そうではない

✔ 正しくは:

👉 価値 → 平均利潤を通じて変形される


◆ 8. 一言でまとめる

👉 生産価格とは「資本主義的競争によって変形された価値」


◆ 9. もう一歩踏み込むと

この概念が重要な理由:

  • なぜ資本主義では「公平に儲かる」ように見えるのか?

  • なぜ搾取が見えにくくなるのか?

👉 そのカラクリが「生産価格」


もし理解をさらに深めるなら:

  • 「数値例でちゃんと計算したい」

  • 「転形問題(transformation problem)」

  • 「現代経済学との違い」

あたりまで行くと一気にクリアになります。


「数値例でちゃんと計算したい」


では、いちばん基本的な数値例で、
価値 → 平均利潤 → 生産価格
までを順番に計算します。

なるべく『資本論』第3巻第8章〜第9章の流れに沿って説明します。


1. 前提

3つの産業があるとします。
どの産業も、投下資本の総額は 100 です。

ただし、資本の中身が違います。

産業

不変資本 c

可変資本 v

合計資本 c+v

A

80

20

100

B

70

30

100

C

60

40

100

さらに、話を簡単にするために
剰余価値率 m' = 100%
とします。

これは、労働者が生み出す剰余価値 m が、可変資本 v と同額という意味です。

つまり:

  • Aでは m = 20

  • Bでは m = 30

  • Cでは m = 40


2. まず「価値」で計算する

商品の価値は

価値 = c + v + m

です。

なので各産業の商品価値はこうなります。

産業

c

v

m

商品価値

A

80

20

20

120

B

70

30

30

130

C

60

40

40

140


3. 価値どおりなら利潤率はどうなるか

利潤率は

利潤率 = m / (c+v)

です。

各産業で計算すると:

  • A:20 / 100 = 20%

  • B:30 / 100 = 30%

  • C:40 / 100 = 40%

産業

剰余価値 m

投下資本

利潤率

A

20

100

20%

B

30

100

30%

C

40

100

40%

ここで分かるのは、

  • 機械や原料が多い A は利潤率が低い

  • 労働力を多く使う C は利潤率が高い

ということです。

これはマルクスの原理どおりです。
剰余価値は v からしか生まれないからです。


4. しかし現実には利潤率は平均化する

資本主義では、資本は高利潤部門に移動します。
その競争の結果、利潤率は平均化する、とマルクスは考えます。

では社会全体で平均利潤率を出します。

まず総剰余価値:

  • 20 + 30 + 40 = 90

総投下資本:

  • 100 + 100 + 100 = 300

したがって平均利潤率は

90 / 300 = 30%

です。


5. 平均利潤を計算する

各産業は100の資本を投下しているので、
平均利潤率 30% にしたがえば、どの産業も得る利潤は

100 × 30% = 30

になります。

産業

投下資本

平均利潤率

平均利潤

A

100

30%

30

B

100

30%

30

C

100

30%

30


6. 生産価格を出す

生産価格は

生産価格 = 費用価格 + 平均利潤

ここで費用価格 k は

k = c + v

です。

各産業について:

  • A:100 + 30 = 130

  • B:100 + 30 = 130

  • C:100 + 30 = 130

産業

費用価格 k=c+v

平均利潤

生産価格

A

100

30

130

B

100

30

130

C

100

30

130


7. 価値と生産価格を比べる

ここがいちばん大事です。

産業

商品価値

生産価格

A

120

130

+10

B

130

130

0

C

140

130

-10

つまり:

  • Aは 価値より高く 売られる

  • Bは 価値どおり

  • Cは 価値より低く 売られる


8. 何が起きているのか

Aは機械が多く、労働者が少ないので、
自分の部門だけでは剰余価値を20しか生みません。

でも競争の結果、30の平均利潤を受け取ります。
だから 本来自分が生んだ以上の利潤 を得ます。

逆にCは40の剰余価値を生みますが、
受け取る利潤は30だけです。
つまり 自分が生んだ剰余価値の一部を他部門に渡している。

これが平均利潤形成の意味です。


9. でも全体では一致する

個別には価値と生産価格はずれます。
しかし全体では一致します。

総価値:

  • 120 + 130 + 140 = 390

総生産価格:

  • 130 + 130 + 130 = 390

一致しています。

さらに、

総剰余価値:

  • 90

総利潤:

  • 30 + 30 + 30 = 90

これも一致しています。


10. マルクスが言いたいこと

この数値例での核心はこうです。

個々の商品は価値どおりには売れない。
しかし、
社会全体では総価値 = 総生産価格、総剰余価値 = 総利潤
となる。

つまり、見かけの上では利潤は「資本一般」から生じるように見えるけれど、
その源泉はやはり労働が生む剰余価値だ、ということです。


11. ひとことで言うと

この例では、

  • Cが多く剰余価値を生む

  • その一部がAへ回る

  • その結果、全員が30%ずつ儲かる

という構造になっています。


12. 学習のコツ

この章は次の3段階で理解すると整理しやすいです。

まず
価値 = c+v+m

次に
平均利潤率 = 総剰余価値 / 総社会資本

最後に
生産価格 = 費用価格 + 平均利潤

この順番です。


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