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2026年3月13日金曜日

『資本論』の学習第193回第2巻資本の流通過程第3扁社会的総資本の再生産と流通第19章研究の対象に関する従来の所説第1節重農学派第2節アダム・スミス1スミスの一般的観点2スミスによるv+mへの交換価値の分解

 



 マルクス『資本論』第2巻 第3篇「社会的総資本の再生産と流通」第19章
**第1節 重農学派/第2節 アダム・スミス(1 一般的観点/2 v+m への分解)

**の要点解説です。
(※数式の v=可変資本、m=剰余価値、c=不変資本)


◆ 第19章の位置づけ:何を問題にしているか

この章は、次章(第20章)の社会的総資本の再生産表式に入る準備として、

「社会全体の資本はどのように再生産されるのか」

という問題について、従来の経済学(重農学派・スミス)がどう考えたかを

批判的に検討する部分です。

マルクスの狙い:

✔ 社会的再生産の分析には

  • 部門間の交換

  • 資本の形態別構成(c・v・m)
    が不可欠
    ✔ しかし古典派はそれを正しく理解していない


◆ 第1節 重農学派

● 重農学派の基本立場

フランス18世紀の学派(ケネーなど)

主張:

👉 純生産物(剰余)は農業だけが生む

  • 農業 = 生産的部門

  • 工業 = 不生産的(単なる加工)

  • 地代 = 剰余の形


● マルクスの評価

重農学派の功績:

✔ 社会的再生産を「全体として」見た最初の学派
✔ ケネーの「経済表」は再生産分析の出発点

しかし限界:

❌ 剰余の源泉を農業に限定
❌ 価値の源泉を労働一般として理解していない
❌ 商品経済の普遍性を把握できない


◆ 第2節 アダム・スミス


1.スミスの一般的観点

● スミスの重要な前進

スミスは剰余の源泉を

👉 労働一般

に求めた点で重農学派を超えた。

また彼は社会の収入を

  • 賃金(労働者)

  • 利潤(資本家)

  • 地代(地主)

の三つに分解した。


● しかしマルクスの批判

スミスは

社会的生産物の価値構成

収入の分配

を混同した。


● マルクスの基本式

商品の価値:

価値=c+v+m

価値=c+v+m

  • c = 不変資本(機械・原料)

  • v = 可変資本(賃金)

  • m = 剰余価値


● スミスの誤り

スミスは社会的生産物の価値を

👉 v + m に還元できると考えた

つまり:

すべての価値は最終的には収入になる


2.スミスによる「v+mへの分解」

ここが第19章の核心です。


● スミスの主張

社会全体の商品価値は最終的に

👉 賃金・利潤・地代
👉 つまり v + m

に分解できる。

理由:

  • 労働者 → 賃金で消費

  • 資本家 → 利潤で消費・投資

  • 地主 → 地代で消費

したがって

👉 生産物は最終的にすべて収入になる


● マルクスの反論

◆ c(不変資本)が消えてしまう

機械や原料の価値はどこへ行くのか?

例:

パンの価格には

  • 小麦の価値

  • 農具の摩耗

  • 燃料
    などが含まれる。

これは賃金でも利潤でも地代でもない。

👉 それは c(過去の労働)


◆ 再生産を考えると致命的

社会が同じ規模で生産を続けるには

👉 生産手段の補填が必要

つまり

cは再びcとして再生産されなければならない

cは再びcとして再生産されなければならない


◆ スミス理論の問題

スミスの分解:

c+v+m→v+m

c+v+mv+m

だとすると:

👉 生産手段がどこから来るのか説明できない


◆ マルクスの指摘

スミスは

✔ 個々の資本の視点
✔ 収入の流れ

から考えすぎて、

👉 社会的総資本の再生産を見ていない


◆ 重要な理論的帰結

マルクスが強調する点:

社会的再生産を理解するには
c・v・m の区別が不可欠

特に:

✔ c は収入にならない

  • 収入になるのは v + m のみ

  • c は資本として再び生産に入る


◆ なぜこの議論が重要か

この章は次の内容への準備:

👉 第20章の再生産表式(I部門・II部門)

そこでは:

  • 生産手段部門

  • 消費手段部門

  • 部門間交換

が精密に分析される。


◆ まとめ

● 重農学派

✔ 社会的再生産を初めて分析
❌ 剰余を農業に限定


● スミスの一般的観点

✔ 剰余を労働一般から説明
❌ 価値構成と収入分配を混同


● v + m への分解の誤り

スミス:

社会的価値 = 収入の総和(賃金+利潤+地代)

マルクス:

社会的価値 = c + v + m
c は収入ではない


2026年3月12日木曜日

『資本論』の学習第192回第2巻資本の流通過程第3扁社会的総資本の再生産と流通第18章緒論第1節研究の対象第2節貨幣資本の役割

 



マルクス『資本論』第2巻
第3篇「社会的総資本の再生産と流通」第18章「緒論」
第1節 研究の対象/第2節 貨幣資本の役割
の要点を、学習用に体系的に解説します。


◆ 第18章の位置づけ(まず全体像)

第2巻は

  1. 個別資本の循環(第1篇)

  2. 回転(第2篇)

  3. 社会的総資本の再生産と流通(第3篇)

という構成です。

第3篇では視点が「個々の資本」から「社会全体」へ移る
ここが最大のポイントです。


■ 第1節 研究の対象

◆ 問題設定:社会全体では何が起きているか?

個々の資本家を見れば

  • 生産する

  • 売る

  • 利潤を得る

で説明できます。

しかし社会全体では次の問題が生じます。

👉 誰が誰に売っているのか?

社会全体では

  • すべての商品は誰かの生産物

  • すべての貨幣は誰かの支払い

だから

「総体として商品はどう実現されるのか」
「再生産はどう可能か」

を解かなければならない。


◆ 研究の核心:社会的再生産

マルクスの問い:

資本主義社会は毎年どうやって再び成立するのか?

つまり

● 再生産とは

単に作ることではなく

  • 生産

  • 分配

  • 交換

  • 消費

が連続すること。


◆ 個別資本と社会的総資本の違い

個別資本

社会的総資本

市場は外部

市場も内部

他資本が買ってくれる

社会内部で実現しなければならない

部分的視点

全体的視点

マルクスはここで

👉 「社会を一つの巨大な資本として見る」


◆ 重要な区別:二部門分析の準備

後に有名な

  • 第Ⅰ部門:生産手段

  • 第Ⅱ部門:消費手段

の区分が出てきますが、
この第18章はその導入です。


■ 第2節 貨幣資本の役割

ここは非常に重要です。


◆ よくある誤解

「社会全体では貨幣は不要では?」

  • 商品は商品と交換される

  • 総体では相殺される

→ マルクスはこれを否定します。


◆ 貨幣は不可欠

社会全体でも

👉 貨幣は再生産の媒介として必要

理由:

1. 交換は同時ではない

  • 売ると買うは時間的に分離

  • 債務関係が発生

  • 支払手段が必要


2. 蓄蔵が存在する

資本家は

  • すぐ再投資しない

  • 貨幣を保持する

  • 準備資金を持つ

→ これが流通に影響する


3. 再生産は周期的

  • 賃金支払い

  • 原料購入

  • 設備更新

すべて時間差がある。

👉 だから貨幣が必要


◆ 貨幣資本の特別な機能

貨幣は単なる交換手段ではない。

社会的再生産では:

● 流通を調整する機能

  • 不均衡を一時的に吸収

  • 支払いを可能にする

  • 蓄蔵として機能


◆ 個別資本 vs 社会全体

個別資本では:

👉 貨幣は資本の一形態(G–W–…–G′)

社会全体では:

👉 再生産の潤滑油・媒介


◆ 重要な洞察

マルクスの狙い:

「貨幣を省けば単純な物々交換で社会が回る」という考えは誤り

資本主義では

  • 商品生産が普遍

  • 分業が高度

  • 信用関係が存在

👉 貨幣は不可欠


■ この節の理論的意味

第18章は、次の分析への入口です。

今後扱う問題:

  • 社会的再生産の均衡条件

  • 部門間交換

  • 剰余価値の実現

  • 単純再生産と拡大再生産


■ 学習の要点まとめ

★ 第1節

✔ 社会全体の再生産を分析する
✔ 個別資本ではなく総資本が対象
✔ 商品が社会内部で実現される必要


★ 第2節

✔ 社会全体でも貨幣は不可欠
✔ 売買の時間差を媒介する
✔ 蓄蔵・支払い・準備資金として機能
✔ 再生産の循環を支える


注目

『資本論』の再学習第6回第1巻第1冊資本生産過程 第1扁商品と貨幣 第1章商品 3節価値形態または交換価値B総体的または拡大せる価値形態1拡大された相対的価値形態2特別な等価形態3総体的または拡大された価値形態の欠陥について解説

  📘『資本論』再学習 第6回 第1巻 第1篇「商品と貨幣」 第1章 商品 第3節 価値形態または交換価値 B 総体的または拡大された価値形態 前回学んだA「単純な価値形態」では、 20エレのリンネル=1着の上着 というように、一つの商品が一つの商品によって価値を表現していまし...

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