📖『資本論』再学習 第38回
第1巻 第1冊 資本生産過程
第4篇 相対的剰余価値の生産
第12章 分業と工場手工業
第1節 工場手工業の二重の起源
この節では、マルクスが「工場手工業(マニュファクチュア)」がどのように誕生したのか
を説明しています。
ポイントは、「工場手工業には二つの異なる始まり方がある」ということです。
① 工場手工業とは?
工場手工業(マニュファクチュア)とは、
一つの工場に多くの職人を集め、それぞれが専門の仕事を分担して商品を作る生産方式です。
まだ蒸気機関や大型機械は普及しておらず、
道具は職人が使います。
つまり、
「機械の工場」ではなく、「分業する職人の工場」
なのです。
② 第一の起源
「異なる職人を集める」
最初の起源は、
それまで別々に仕事をしていた職人を、
一人の資本家が集めることです。
例えば時計なら
歯車職人
ゼンマイ職人
ケース職人
針職人
文字盤職人
これまでは別々に働いていました。
資本家は彼らを
一つの工房へ集めます。
すると
移動時間が減る
材料運搬が短くなる
作業が速くなる
ため、生産量が増えます。
例
昔
歯車職人
↓
ケース職人
↓
針職人
商品を渡し歩く必要がありました。
しかし工場では
資本家
歯車→ケース→針→完成
同じ建物の中で流れるように進みます。
これが最初の工場手工業です。
③ 第二の起源
「同じ仕事を細かく分ける」
もう一つの起源は、
一人の職人が全部作っていた仕事を
細かく分解することです。
例えば針作りなら
一人で
鉄を切る
伸ばす
尖らせる
穴を開ける
磨く
全部やっていました。
しかし工場では
Aさん
鉄を切るだけ
↓
Bさん
伸ばすだけ
↓
Cさん
穴を開けるだけ
↓
Dさん
磨くだけ
というように
一人一工程だけ担当します。
これが分業です。
④ なぜ生産性が上がるのか
マルクスは理由をいくつも挙げています。
① 熟練する
毎日同じ仕事だけ行うので
非常に速くなります。
② 無駄が減る
仕事を変えるたびに
道具を持ち替える必要がありません。
③ 専用道具が発達する
同じ仕事だけなので
その作業専用の道具が生まれます。
これが後の
機械発明
につながります。
⑤ 資本家にとっての利益
資本家は
一人の万能職人を育てるより
単純作業だけできる労働者を
何人も雇う方が安く済みます。
つまり
教育費が安い
賃金が安い
交代が簡単
となります。
その結果、
利益(相対的剰余価値)が増えていきます。
⑥ 労働者への影響
マルクスは
分業は便利だが
労働者には悪い面もあると指摘します。
例えば
一生
「穴を開けるだけ」
「磨くだけ」
しか仕事をしない人が生まれます。
すると
技術が偏る
全体を理解できない
単純労働者になる
という問題が起こります。
⑦ この章でマルクスが伝えたいこと
マニュファクチュアは
自然にできたのではありません。
資本家が利益を増やすために、労働を細かく分業した結果、生まれた生産方式です。
分業によって生産性は飛躍的に向上しましたが、その一方で労働者は仕事の一部分だけを担う
ようになり、技能や仕事全体を見渡す力を失いやすくなりました。
この生産方式は、後の**機械制工業(産業革命)**へと発展する重要な土台になったとマルクス
は考えています。
📝 第1節のポイント(まとめ)
✅ 工場手工業(マニュファクチュア)は、多くの職人を一つの工房に集めた生産方式である。
✅ 起源には「異なる職人を集める方法」と「一つの仕事を細かく分業する方法」の二つがある。
✅ 分業によって熟練・効率化・専用道具の発達が進み、生産性が大きく向上した。
✅ 資本家は教育費や賃金を抑えながら、生産量を増やして相対的剰余価値を拡大できた。
✅ 一方で、労働者は単純作業に固定され、技能の全体性や仕事への主体性を失いやすくなった。
✅ 工場手工業は、後の機械制工業(産業革命)の基礎となる歴史的な生産形態である。
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