📖『資本論』再学習 第34回
第1巻 第1冊 資本生産過程
第3篇 絶対的剰余価値の生産
第9章 剰余価値の率と剰余価値の量
第8章では「労働日をどこまで延ばせるか」という問題を扱いました。第9章では、その結果として資本家がどれだけ剰余価値(利益の源泉)を得るのかを数式を使いながら説明しています。
この章は、『資本論』の中でも資本家の利益の仕組みを理解するための重要な章です。
① 剰余価値とは何か
労働者は1日の労働時間のうち、
自分の賃金を生み出す時間
資本家の利益を生み出す時間
の二つに分かれています。
例えば
労働時間:10時間
生活費(賃金)を生み出す時間:5時間
残り5時間:資本家の利益
となります。
この後半5時間が
剰余労働
その成果が
剰余価値
です。
② 必要労働時間と剰余労働時間
例
労働日10時間
必要労働とは
労働者自身が生活するための賃金を生み出す時間です。
それを超えた時間は
資本家の取り分になります。
③ 剰余価値率とは
マルクスは
労働者がどれだけ搾取されているか
を表す数字として
剰余価値率
を使います。
式は
剰余価値率=剰余労働時間 ÷ 必要労働時間
例えば
必要労働5時間
剰余労働5時間
なら
5÷5=100%
になります。
例1
8時間労働
必要労働4時間
剰余労働4時間
剰余価値率
=4÷4
=100%
例2
必要労働4時間
剰余労働6時間
剰余価値率
=6÷4
=150%
つまり
資本家は賃金以上の利益を多く得ています。
④ 剰余価値の量
剰余価値率が同じでも
働く人数が違えば
利益も変わります。
例
一人の労働者
剰余価値100円
10人なら
100円×10
=1000円
100人なら
100円×100
=10000円
つまり
資本家は
労働者を増やすほど利益も増えます。
⑤ マルクスの公式
マルクスは
剰余価値量=可変資本×剰余価値率
という公式を示しました。
ここでいう
可変資本とは
労働者に支払う賃金です。
つまり
利益は
労働者の人数
賃金総額
搾取率
によって決まります。
⑥ なぜ「可変資本」というのか
機械は
新しい価値を生みません。
材料も
価値を移すだけです。
しかし
人間の労働だけは
新しい価値を作ります。
だから
賃金に使う資本だけを
可変資本
と呼びます。
⑦ この章でマルクスが伝えたいこと
資本家は利益を増やすために
労働時間を延ばす
労働者を増やす
必要労働時間を短くする
賃金を抑える
という方向へ進みます。
つまり
利益は
偶然ではなく
労働者の剰余労働から生まれる
ということを証明しています。
🌟まとめ
✅ 剰余価値とは、労働者が自分の賃金以上に生み出した価値である。
✅ 必要労働時間は賃金を生み出す時間、剰余労働時間は資本家の利益を生み出す時間である。
✅ 剰余価値率=剰余労働時間 ÷ 必要労働時間で表され、搾取の度合いを示す。
✅ 剰余価値の量は、可変資本(賃金総額)と剰余価値率によって決まる。
✅ 人間の労働だけが新しい価値を生み出すため、資本主義では労働力が利益の源泉となる。
💡学習ポイント
この第9章は、第10章「相対的剰余価値の概念」につながる重要な橋渡しです。
第8章では「労働日を延ばして利益を増やす方法(絶対的剰余価値)」を学びましたが、第10章では
「労働時間を延ばさずに、生産性向上によって利益を増やす方法(相対的剰余価値)」
が解説されます。この違いを意識すると、第3篇全体の流れが理解しやすくなります。

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