📖『資本論』再学習 第35回
第1巻 第1冊 資本生産過程
第4篇 相対的剰余価値の生産
第10章 相対的剰余価値の概念
第8章・第9章では、資本家が**労働時間を延ばす(絶対的剰余価値)**ことで利益を増やす仕組
みを学びました。
第10章からは、資本論の大きなテーマの一つである**「相対的剰余価値」**に入ります。
① 相対的剰余価値とは何か
相対的剰余価値とは、
労働時間を延長せずに、必要労働時間を短縮して剰余労働時間を増やすこと
によって得られる剰余価値です。
例えば1日の労働時間が12時間だとします。
これまで(絶対的剰余価値)
必要労働:6時間
剰余労働:6時間
↓
労働日を14時間へ延長
必要労働:6時間
剰余労働:8時間
→利益が増える
相対的剰余価値
労働日は12時間のまま
必要労働:6時間
↓
生産性向上
↓
必要労働:4時間
剰余労働:8時間
→利益が増える
つまり、
労働時間を延ばさなくても利益は増やせる
というのが相対的剰余価値です。
② 必要労働時間とは
必要労働時間とは、
労働者自身の生活費(労働力の価値)を生み出す時間
でした。
例えば
一日に生活費1万円必要なら
6時間働けば1万円分の価値を生産できるとします。
ところが、
機械や技術が進歩すると
4時間で1万円分を作れるようになります。
すると
残り8時間は
すべて資本家の利益になります。
③ なぜ必要労働時間が短くなるのか
マルクスは、
労働者の生活に必要な商品の価格が安くなるから
と説明します。
例えば
生活に必要なのは
食料
衣服
住宅
日用品
です。
これらが機械化によって安くなると
生活費も下がります。
つまり
労働力の価値も下がるのです。
④ 生産性向上が利益を生む
資本家は
新しい機械
新技術
分業
工場の合理化
を進めます。
目的は
労働者を楽にするためではありません。
目的は
剰余価値を増やすこと
です。
つまり
技術革新の目的は
資本主義では利益拡大になります。
⑤ 個々の企業だけではなく社会全体が変わる
ある会社だけが新技術を導入すると
その会社だけ利益が増えます。
しかし
やがて他社も導入します。
すると
商品の価格が下がり
生活必需品も安くなります。
その結果
労働力の価値が下がり
社会全体で必要労働時間が短縮されます。
これが
相対的剰余価値です。
⑥ なぜ「相対的」と呼ぶのか
労働日は同じです。
変わるのは
必要労働と剰余労働の**割合(相対関係)**です。
例えば
12時間労働
6時間+6時間
↓
4時間+8時間
となります。
労働日は同じでも
利益部分だけが増えます。
だから
相対的剰余価値
と呼ばれます。
⑦ マルクスの重要な指摘
資本主義では
技術進歩そのものは悪くありません。
しかし
その成果は
まず資本家の利益拡大に利用されます。
本来なら
機械が発達すれば
労働時間を短くできるはずです。
ところが資本主義では
労働時間はそのままで
利益だけが増えていく傾向があります。
マルクスはここを批判しています。
🌟今回のポイント(まとめ)
✅ 相対的剰余価値とは、必要労働時間を短縮し、剰余労働時間を増やすことで得られる
利益である。
✅ 労働時間を延長しなくても、生産性向上によって資本家の利益は増加する。
✅ 機械化・技術革新・分業は、資本主義では利益拡大の手段として利用される。
✅ 生活必需品が安くなることで労働力の価値が下がり、必要労働時間も短縮される。
✅ 相対的剰余価値は、資本主義の発展を支える中心的な仕組みであり、第4篇全体を理解す
るための出発点となる。
次回(第36回)は、第10章の内容をさらに掘り下げ、協業(多くの労働者が共同で働くこと)
が相対的剰余価値の生産にどのような役割を果たすのかについて学んでいきます。
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