『資本論』第1巻 第7編「資本の蓄積過程」第24章のうち、
**第4節「資本主義的借地農業者の生成」**と
第5節「工業への農業革命の反作用――産業資本のための国内市場の形成」
を、流れがつかめるように整理して解説します。
全体の位置づけ(まずここが大事)
この第24章「いわゆる本源的蓄積」で、マルクスがやっているのは次の批判です。
「資本主義は“勤勉”や“節約”から自然に生まれたのではない。
暴力的に条件が作られたのだ」
その条件とは
資本を持つ少数者
労働力しか持たない多数者
この分離を、農村の解体と農業革命を通じて説明するのが、第4・5節です。
第4節 資本主義的借地農業者の生成
① 中世的農業からの転換
中世イギリスでは:
農民(小生産者)が土地を耕す
領主は地代を取る
生産は主に自給的
しかし囲い込み(エンクロージャー)などで:
小農民は土地を追われる
土地は大規模に統合される
② 「資本主義的借地農業者」とは誰か
ここで登場するのが 資本主義的借地農業者(capitalist tenant farmer)。
特徴は:
土地は所有しない(地主から借りる)
生産手段(家畜・道具・種子)を自分の資本で投入
労働者を雇用
目的は 利潤の獲得
つまり:
農業の内部に、資本主義的生産様式が持ち込まれた
③ 地主・借地農業者・労働者の三層分化
この結果、農村は次の三者に分裂します。
👉 農業も完全に資本主義的関係に組み込まれた
第5節 工業への農業革命の反作用
――産業資本のための国内市場の形成
ここが「農業革命 → 工業資本」という重要な連結点です。
① 農業革命が生んだ「二つの供給」
農業の資本主義化は、工業にとって決定的な二つのものを供給します。
① 労働力の供給
土地を失った農民 → 都市へ
自由だが無産の労働者が大量に誕生
工場労働力として吸収される
👉 産業資本にとって「人手」が確保される
② 市場(需要)の供給
農民が:
自給できなくなる
衣服・道具・日用品を市場で買う必要が生じる
その結果:
工業製品の国内市場が拡大
農村が「消費市場」に転化
👉 工業生産が「売れる」条件が整う
② 農業革命 → 工業資本の好循環
マルクスの論理を整理すると:
農業の資本主義化
農民の没落・賃労働者化
労働力と市場の創出
工業資本の成長
工業製品が再び農村へ流入
👉 農業革命は工業資本の前提条件
③ 「自然な発展」ではなく「強制された過程」
マルクスが強調するのはここです。
農民は自発的に土地を捨てたのではない
国家権力・法・暴力が介在した
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