**『資本論』第1巻・第7篇「資本の蓄積過程」第23章「資本主義的蓄積の一般的法則」**につ
いて、指定された第1節・第3節・第4節を軸に、論理の流れがつかめるように解説します。
第23章全体の位置づけ
この章でマルクスが示そうとした核心は、
資本の蓄積が進めば進むほど、労働者階級の一部が恒常的に「余剰化」され、貧困と不安定が
再生産される
という、資本主義に固有の「法則」です。
これは道徳的批判ではなく、資本の運動そのものから必然的に生じる結果として描かれます。
第1節
資本組成が不変な場合における、蓄積に伴う労働力需要の増加
要点
仮定:
資本の技術構成が変わらない
つまり、機械と労働力の比率が一定のまま資本が拡大する
結果:
資本が増えれば、それに比例して労働力需要も増加
労働者の雇用は拡大し、賃金も一時的に上昇しうる
重要な含意
この段階では、
「資本主義は労働者を豊かにする」
かのように見えるしかしこれはあくまで仮定的・一時的状況
マルクスはここで、**資本主義を擁護する経済学が前提にしている“理想条件”**をまず認め、
その限界を明らかにしようとしています。
第3節
相対的過剰人口(産業予備軍)の累進的生産
転換点
現実の資本主義では、蓄積が進むにつれて:
機械化
労働の分業化
生産性の上昇
が起こり、資本の有機的構成が高度化します。
結果
同じ、あるいはより多くの生産を
→ より少ない労働者で行えるそのため:
雇用されない、あるいは排除される労働者が生まれる
これが相対的過剰人口(産業予備軍)
「相対的」とは?
人口が多すぎるのではない
**資本の自己増殖にとって「余っている」**という意味
法則性
資本が蓄積されるほど、
労働者の一部は「不要」とされ、
その存在自体が賃金抑制と支配の手段になる
第4節
相対的過剰人口のさまざまな実存形態
マルクスは、産業予備軍が一様ではないことを明確にします。
① 流動的過剰人口
景気循環によって
雇われたり
解雇されたり
工業労働者に典型的
② 潜在的過剰人口
主に農村部
工業化の進展で
いずれ都市へ流入する可能性をもつ人口
常に「待機状態」
③ 停滞的過剰人口
不安定雇用
低賃金
不規則労働
現代で言えば:
非正規雇用
ギグワーカー
に近い状態
④ 最下層(貧民層・浮浪者等)
労働市場からほぼ排除
しかし完全に「外部」ではない
資本主義の不可避な副産物
資本主義的蓄積の一般的法則(総まとめ)
マルクスの結論は明確です。
資本の蓄積が進むほど、
一方では富が集中し、
他方では相対的貧困・不安定・失業が組織的に生産される
これは偶然ではない
政策ミスでもない
資本主義そのものの運動法則
決定的ポイント
労働者階級の不安定化は
→ 資本にとって「機能的」産業予備軍の存在が:
賃金を抑制
労働者を規律化
資本の支配を再生産する
学習のコツ(補足)
この章は「暗い結論」に見えますが、
マルクスは感情的悲観ではなく
構造分析をしている
現代の:
失業
非正規化
ワーキングプア
を考えると、非常に射程が長い章です
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