前回の話題と重なる部分がある前提で、第24章「いわゆる本源的蓄積」の
第2節と第3節を、流れがつながるように整理し直して解説しますね。
(※強調点を少し変えて「再説明」します)
全体の位置づけ(再確認)
第24章でマルクスがやっているのは、とてもシンプルで挑発的です。
資本主義は「勤勉な貯蓄」から生まれたのではない。
暴力・収奪・国家権力によって人々を無産者にした結果として生まれた。
この歴史過程を、皮肉をこめて
「いわゆる」本源的蓄積
と呼んでいます。
📘 参照テキスト
資本論 第1巻 第24章
第2節 農村民からの土地の収奪(エンクロージャー)
① 何が起こったのか
中世イングランドでは、農民は
自分の耕作地
共同地(放牧・薪集めが可能)
を使って自給的に生きる基盤を持っていました。
ところが15〜16世紀以降、
羊毛産業の拡大
地主の利潤追求
によって、地主が
共同地を囲い込み(エンクロージャー)
農民を土地から追い出す
という事態が進行します。
👉 農民は突然「生きる手段」を奪われる。
② 重要ポイント(前回のおさらい)
ここで大事なのは、
農民が「自由意志で労働者になった」わけではない
土地を奪われたから、労働力を売るしかなくなった
という点です。
マルクスはこれを
「自由な労働者」=
土地からも、生活手段からも自由にされた存在
と皮肉ります。
③ 二重の意味での「自由」
封建的束縛からは自由
しかし 生きる手段からも自由(=無一物)
この矛盾が、資本主義的労働者の出発点。
第3節 流血の立法
― 被収奪者を労働者に仕立てる国家権力 ―
ここが第2節の続きであり、より陰惨な部分です。
① 問題が発生する
土地を奪われた人々は:
すぐには賃労働者にならない
物乞い・浮浪・盗みで生き延びようとする
👉 しかし、これは資本主義にとって「都合が悪い」。
② 国家が登場する
そこで国家はどうしたか?
浮浪者取締法
乞食禁止法
強制労働
身体刑・死刑
を制定します。
マルクスがこれを
「流血の立法」
と呼ぶ理由です。
③ 立法の本当の目的
表向きの名目:
「秩序維持」
「怠惰の矯正」
実際の目的:
労働者を工場に縛りつける
賃金を低水準に抑える
つまり、
労働者が
「嫌でも、安賃金でも働くしかない」
状態を法律で作る。
④ 労賃引き下げのための法律
具体的には:
賃金の上限を法律で決める
雇い主側の違反は軽罰
労働者側の違反は重罰(投獄・鞭打ち)
👉 法は中立ではなく、階級的に偏っている。
第2節と第3節の関係(再整理)
👉
土地から引き剥がし(第2節)
→ 法と暴力で工場に押し込む(第3節)
この二段構えが「本源的蓄積」。
マルクスの核心的メッセージ(再確認)
マルクスが言いたいのは:
市場は最初から「自由」だったわけではない
自由市場は、非自由な暴力の上に作られた
国家権力は、誕生時から資本に奉仕している
ということです。
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