『資本論』再学習 第19回
第1巻 第1冊 資本生産過程
第3篇 絶対的剰余価値の生産
第5章 労働過程と価値増殖過程
第1節 労働過程
ここから『資本論』はいよいよ資本主義の工場の中で何が起きているのかを本格的に分析します。
これまで学んできた内容は、
第1篇…商品と貨幣
第2篇…貨幣が資本になる条件
第3篇…資本家が利益(剰余価値)を得る仕組み
でした。
第5章では、その中心となる**「労働過程」と「価値増殖過程」**を区別して考えます。
今回はその前半である**「労働過程」**です。
労働過程とは何か
マルクスは労働を次のように定義しています。
人間が自然に働きかけ、自分の生活に必要なものを作り出す活動
つまり労働そのものは、
資本主義
社会主義
古代
中世
どんな社会にも存在します。
パンを焼くことも、
畑を耕すことも、
魚を釣ることも、
すべて労働です。
つまり
労働そのものは資本主義特有ではありません。
労働過程の3つの要素
マルクスは労働過程を3つに分けています。
① 労働そのもの
人間が目的を持って行う活動です。
例えば
木を切る
鉄を削る
パンを焼く
などです。
ここで重要なのは
人間は頭の中で完成図を考えてから仕事をする
という点です。
マルクスは
建築家は最初から設計図を頭に描いている
と説明しています。
これは蜂が美しい巣を作ることとの違いです。
蜂は本能ですが、
人間は
目的意識を持って働く
のです。
② 労働対象
働きかける相手です。
例えば
木材
鉄鉱石
小麦
綿花
など。
自然そのものも労働対象になります。
一度加工されたものも、
次の労働では労働対象になります。
例
綿花
↓
糸
↓
布
↓
洋服
途中のすべてが労働対象になります。
③ 労働手段
働くために使う道具です。
例えば
ハンマー
のこぎり
ミシン
コンピューター
工場
機械
など。
マルクスは
人間は道具を作る動物である
と説明しています。
道具が発達するほど、
生産力も向上します。
生産手段とは
マルクスは
労働対象+労働手段
これをまとめて
生産手段
と呼びます。
つまり
生産手段
=
労働対象
+
労働手段
です。
労働の成果
労働によって
新しい使用価値
が生まれます。
例えば
小麦
↓
パン
木材
↓
机
鉄
↓
自動車
つまり
自然を人間が加工し、
新しい商品を生み出します。
人間と自然との関係
マルクスは労働を
人間と自然との物質代謝
と表現しています。
つまり
自然から
木
鉄
水
石油
などを取り出し、
人間が加工して生活に役立てます。
この循環を
物質代謝(Stoffwechsel)
と呼びました。
現代では、
環境問題やSDGsを考える上でも重要な概念として再評価されています。
労働は価値を生むだけではない
労働は
新しい商品
新しい使用価値
を生みます。
しかしこの段階では
まだ
資本家の利益
については説明していません。
ここでは
純粋な「ものづくり」
だけを分析しています。
ここでまだ説明していないこと
今回説明したのは
労働過程
だけです。
次節では
価値増殖過程
つまり
なぜ資本家は利益を得るのか
を説明します。
ここから
剰余価値
が登場します。
ポイントまとめ
✅ 労働は人間と自然との物質代謝である。
✅ 労働過程はどの社会にも存在する。
✅ 労働過程は「労働・労働対象・労働手段」の3つから成る。
✅ 労働対象と労働手段を合わせて「生産手段」という。
✅ 労働によって新しい使用価値が生まれる。
✅ この段階ではまだ資本家の利益(剰余価値)は説明されていない。
学習のポイント
次回は**第5章 第2節「価値増殖過程」**を学びます。
そこでは、
労働力が価値を生み出す仕組み
必要労働時間と剰余労働時間
資本家が利益を得る秘密
が詳しく解説されます。
ここが『資本論』全体の中でも最も重要な部分の一つであり、「剰余価値論」の核心へと進んでいきます。

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