📖『資本論』再学習 第24回
第1巻 第1冊 資本生産過程
第3篇 絶対的剰余価値の生産
第7章 剰余価値率 第3節 シーニョアの
「最終の1時間」
この節では、マルクスがイギリスの経済学者 ナッソー・ウィリアム・シーニョア の有名な学説
「最終の1時間説」を厳しく批判しています。
🌟 シーニョアの「最終の1時間説」とは?
19世紀のイギリスでは、工場法によって労働時間を短縮しようという運動が盛んでした。
しかし工場主たちは
「労働時間を1時間短くすると利益が全部なくなる!」
と反対しました。
その理論を説明したのがシーニョアでした。
彼は
「利益は最後の1時間で生まれる」
と主張しました。
例えば11時間労働なら
1~10時間
→ 原材料費・機械代・賃金を回収する時間11時間目
→ 利潤だけを生み出す時間
だから
「11時間を10時間にすると利益がゼロになる」
という説明です。
🤔 なぜマルクスは批判したのか?
マルクスは
「利益は最後の1時間だけから生まれるわけではない」
と反論します。
資本論では労働時間は
必要労働時間
+
剰余労働時間
に分かれます。
例えば
8時間労働なら
4時間
=自分の賃金を作る
4時間
=資本家の利益を作る
となります。
つまり
利益は
最後だけではなく
剰余労働時間全体から生まれているのです。
📊 具体例
労働時間が
10時間だったとします。
5時間
必要労働
5時間
剰余労働
利益は
6時間目
7時間目
8時間目
9時間目
10時間目
この5時間全部で作られます。
シーニョアは
最後の1時間だけ
と言いました。
これは数学的にも経済学的にも誤りだとマルクスは指摘しました。
🏭 なぜこんな理論が作られたのか?
当時イギリスでは
工場法によって
子どもの長時間労働禁止
女性労働時間短縮
労働時間10時間制
が議論されていました。
工場主は
「利益がなくなる」
と政府を説得したかったのです。
シーニョアの理論は
資本家側の主張を学問で裏付ける役割を果たしました。
マルクスは
「これは資本家の宣伝にすぎない」
と痛烈に批判しています。
📖 マルクスが伝えたかったこと
マルクスの考えでは
利益(剰余価値)は
労働時間全体
↓
必要労働を超えた部分
から生まれます。
つまり
利益
=最後だけではない
ということです。
だから
1時間短縮しても
利益が完全になくなるわけではありません。
利益は減るかもしれませんが、
「最後の1時間だけが利益」という説明は成り立たないのです。
🌟 今回のポイントまとめ
✅ シーニョアは「利益は最後の1時間で生まれる」と主張した。
✅ この説は工場法による労働時間短縮に反対するための理論だった。
✅ マルクスは、利益(剰余価値)は剰余労働時間全体から生まれると反論した。
✅ 労働時間は「必要労働」と「剰余労働」に分かれ、利益は剰余労働全体の成果である。
✅ 第3節は、資本家側の経済学を具体例を用いて批判し、『資本論』の剰余価値論の正当性を
示した章である。
🎨 漫画イメージ
👨🏭 労働者「10時間働いたよ!」
🏭 資本家「利益は最後の1時間だけなんだ!」
🧔 マルクス「違います。利益は5時間分の剰余労働すべてから生まれています。」
📈 ポイント
必要労働 ■■■■■
剰余労働 □□□□□
利益は□□□□□全部!
最後の□だけではない!
この第3節は、『資本論』の中でも
資本家側の経済理論を具体的に検証・批判し、剰余価値は「労働者が賃金以上に働いた時間全体」
から生まれることを明確に示した重要な章です。

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