第7章では、マルクスが**「資本家はどのくらい労働者を搾取しているのか」を数字で表
す方法**を説明しています。
ここから『資本論』は、資本主義を数学的・科学的に分析する段階へ進みます。
🌱 なぜ「搾取度」を測るのか?
前章までで学んだように、
労働者は労働力を資本家へ売る
資本家は賃金を支払う
労働者は賃金以上の価値を生み出す
この
「賃金以上に生み出した価値」
こそが
剰余価値(m)
でした。
マルクスは
「では、その割合はいったいどれくらいなのか?」
を明らかにします。
💰価値の構成を復習
商品の価値は
商品価値= c + v + m
で表されます。
c=不変資本(機械・工場・材料)
v=可変資本(賃金)
m=剰余価値(利益の源泉)
例えば
材料 80円
賃金 20円
利益 20円
なら
商品価値
80+20+20=120円
になります。
📊 剰余価値率とは?
マルクスは
利益率ではなく
まず
剰余価値率
を見るべきだと考えました。
剰余価値率とは
剰余価値 ÷ 可変資本
です。
つまり
m/v
となります。
例えば
賃金20円
剰余価値20円
なら
20÷20=100%
になります。
つまり
労働者は自分の賃金と同じ額だけ資本家の利益を生み出している
ことになります。
⏰ 必要労働時間と剰余労働時間
ここが第7章最大のポイントです。
マルクスは1日の労働を
2つに分けます。
① 必要労働時間
労働者が
自分の賃金を生み出す時間
例えば
1日8時間働き
4時間で賃金分を生産したなら
この4時間が必要労働です。
② 剰余労働時間
残り4時間です。
この時間に作られた価値は
すべて資本家のものになります。
これが
剰余価値です。
つまり
8時間労働
■■■■□□□□
前半4時間
必要労働
後半4時間
剰余労働
となります。
📈 搾取率は時間でも表せる
マルクスは
剰余価値率は
お金だけではなく
時間でも同じ
だと説明します。
つまり
剰余価値率=剰余労働時間÷必要労働時間
例
必要労働 4時間
剰余労働 4時間
なら
4÷4
=100%
になります。
もし
必要労働3時間
剰余労働9時間
なら
9÷3
=300%
になります。
つまり
資本家は
賃金の3倍もの利益を得ていることになります。
🏭 なぜ利益率ではなく剰余価値率を見る
のか?
普通の経済学では
利益率
利益÷全資本
で考えます。
しかし
マルクスは
利益を生むのは
機械ではない
と言いました。
機械は
価値を移すだけです。
新しい価値を生むのは
労働力だけ
です。
だから
比較する相手は
機械ではなく
賃金なのです。
🏢 現代企業でも考えてみよう
例えば
社員の年収が
500万円
しかし
会社へ生み出した付加価値が
1000万円なら
剰余価値は
500万円
になります。
すると
剰余価値率は
500÷500
=100%
となります。
もちろん現実には
設備投資や研究開発費、税金などもあるため、この数字だけで企業の利益を判断することは
できません。しかし、マルクスは「労働力が新しい価値を生み出す」という視点から分析
しました。
📚 第7章第1節でマルクスが伝えたかったこと
マルクスは
「長時間働いている」
ことだけではなく
そのうち何時間が自分のためで、何時間が資本家の利益のためなのか
を見ることが重要だと言っています。
その比率こそが
剰余価値率
なのです。
🌟今回のポイントまとめ
✅ 商品価値は c+v+m で表される。
✅ 剰余価値率=m÷v(剰余価値÷可変資本)。
✅ 労働時間は「必要労働時間」と「剰余労働時間」に分けられる。
✅ 剰余価値率は 剰余労働時間÷必要労働時間 としても表せる。
✅ 労働時間が長くなるほど、一般には剰余価値率は高まりやすい。
✅ マルクスは、利益の源泉は機械ではなく労働力にあると考えた。
✅ 第7章では、「搾取」を感覚ではなく数値で分析する方法が示された。
🎓 次回予告
**第23回 第7章 第2節「商品の価値を比例的に表す場合」**では、労働時間や生産性が変化し
たときに、剰余価値率や商品価値がどのように変わるのかを、具体例を交えながら分かりやすく学ん
でいきます。

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