📚『資本論』再学習 第20回
第1巻 第1冊 資本生産過程
第3篇 絶対的剰余価値の生産
第5章 労働過程と価値増殖過程
第2節 価値増殖過程
前回は「労働過程」を学びました。
そこでは、
人間は自然に働きかける
労働は使用価値(役に立つもの)を作る
労働そのものはどんな社会にも存在する
ということを学びました。
しかし、ここでマルクスは重要な問いを投げかけます。
資本家はなぜ利益(剰余価値)を得られるのか?
これが今回学ぶ価値増殖過程です。
① 労働過程だけでは資本主義は説明できない
パン職人がパンを焼く。
農家が野菜を育てる。
家具職人が机を作る。
これはどれも「労働過程」です。
しかし、
資本主義では
商品を作ることが目的ではありません。
目的は
お金を増やすこと
なのです。
つまり
商品は利益を生み出す手段
になります。
② 資本家は何を買うのか
資本家は市場で
原材料
機械
建物
労働力
を買います。
例えばパン工場なら
小麦粉100円
バター50円
オーブン代50円
合計200円
さらに
労働者へ
賃金100円
支払います。
すると合計300円になります。
③ 商品の価値はどう決まるか
パンが完成しました。
販売価格が
400円だったとします。
すると
投入した価値は
300円
販売価格は
400円
差額は100円です。
この100円が
資本家の利益です。
では
この100円は
どこから生まれたのでしょう?
④ 原材料は価値を増やさない
小麦粉は
100円で買えば
100円分しか価値を持ちません。
バターも同じです。
オーブンも
減価償却された分しか価値を移しません。
つまり
生産手段は
自分以上の価値を生みません。
これをマルクスは
不変資本
と呼びます。
つまり
価値を移すだけです。
⑤ 労働力だけが価値を増やす
ここが資本論最大のポイントです。
資本家が100円払って買ったものは
「労働」
ではありません。
買ったのは
労働力
です。
労働力とは
働く能力です。
例えば
労働者は
4時間働けば
100円分の価値を生み出せます。
ところが
実際には
8時間働きます。
すると
8時間で200円分の価値を作ります。
賃金は100円。
でも
生み出した価値は200円。
差額100円。
これが
剰余価値
です。
⑥ 労働者は損をしているのか?
ここで誤解してはいけません。
マルクスは
資本家が法律違反をしているとは言っていません。
労働者は
契約通り
賃金100円を受け取っています。
資本家も
市場価格で労働力を買っています。
つまり
交換そのものは
公平です。
しかし
買われた労働力には
自分以上の価値を生み出す能力
があります。
ここに
資本主義の秘密があります。
⑦ 労働時間には2種類ある
マルクスは
1日の労働を
2つに分けました。
必要労働時間
賃金分を稼ぐ時間
例
4時間
剰余労働時間
資本家の利益になる時間
例
4時間
つまり
8時間働けば
という構造になります。
⑧ 剰余価値とは
剰余価値とは
労働者が無償で資本家に提供した労働
ではなく、より正確には、
労働力の価値(賃金)を超えて新たに生み出された価値
を指します。
これが
資本家の利益
利子
配当
地代
などの源泉になります。
⑨ 資本主義の特徴
普通の商品交換なら
商品⇔貨幣
で終わります。
しかし資本主義では
貨幣
↓
商品(労働力+生産手段)
↓
生産
↓
商品
↓
より多くの貨幣
になります。
つまり
G-W-G'(貨幣-商品-増殖した貨幣)
です。
最後の貨幣が増える理由が
労働力だったのです。
⑩ なぜ重要なのか
古典派経済学者は
利益は
安く買って高く売る
商売が上手だから
と考えることが多くありました。
しかしマルクスは
そうではなく
利益は
生産の現場
で生まれることを証明しました。
だから
工場こそ
資本主義を理解する鍵になるのです。
🌟今回のポイントまとめ
✅ 労働過程は「物を作る過程」である。
✅ 資本家の目的は「価値を増やすこと」である。
✅ 生産手段(原料・機械)は価値を移すだけで、新しい価値は生まない(不変資本)。
✅ 労働力だけが新しい価値を生み出す。
✅ 労働者は賃金以上の価値を生産する。
✅ 賃金を超えて生み出された価値が「剰余価値」である。
✅ 必要労働時間と剰余労働時間に分けることで、資本主義の利益の仕組みが理解できる。
✅ 『資本論』では、利益は流通ではなく生産過程で生まれると考える。
📖 次回予告(第21回)
いよいよ第6章 「不変資本と可変資本」 に入ります。
ここでは、
不変資本(機械・原材料)
可変資本(労働力)
なぜ労働力だけが剰余価値を生み出すのか
をさらに詳しく学び、資本主義の利益構造をより深く理解していきます。

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