📖『資本論』再学習 第39回
第1巻 第1冊 資本生産過程
第4篇 相対的剰余価値の生産
第12章 分業と工場手工業
第2節 部分労働者とその道具
この節では、マルクスは分業によって労働者が「部分労働者(Teil-Arbeiter)」へと変化する
過程を説明しています。
① 部分労働者とは何か
工場手工業では、一人の職人が最初から最後まで商品を作ることはありません。
例えば時計づくりでは、
歯車を作る人
ネジを作る人
ケースを磨く人
組み立てる人
というように、一人ひとりが一つの工程だけを担当します。
このような労働者をマルクスは
「部分労働者」
と呼びました。
つまり、
一人で商品を作る職人ではなく、全体の一部分だけを担当する専門労働者
になったということです。
② 熟練よりも「同じ作業の繰り返し」
昔の職人は
木を切る
削る
組み立てる
仕上げる
まで全部できました。
しかし工場手工業では
毎日
ネジだけ
歯車だけ
穴だけ
という仕事になります。
同じ仕事を何百回、何千回と続けるため、
作業速度は非常に速くなります。
つまり
専門化=生産性向上
なのです。
③ 道具も専門化する
ここがこの節の重要なポイントです。
昔の職人は万能工具を使いました。
しかし分業が進むと、
仕事が一種類だけになるので、
その仕事専用の道具が作られます。
例えば
小さいハンマー
特殊なヤスリ
専用のノミ
専用ドリル
などです。
つまり
労働が専門化すると、道具も専門化する
のです。
④ 道具の改良が進む
専用工具になると、
その仕事だけに最適化できます。
すると
作業時間短縮
精度向上
疲労軽減
生産量増加
が実現します。
マルクスは
分業は道具の改良を促進する
と説明しています。
⑤ 機械への第一歩
実はここが最も重要です。
専用工具は、
さらに発展すると
機械
になります。
例えば
手回しドリル
↓
足踏みドリル
↓
蒸気機械
↓
工作機械
という発展です。
つまり
部分労働者が使う専用道具は、やがて機械へ発展する。
工場手工業は機械制工業への橋渡しだったのです。
⑥ 労働者は道具の一部になる
昔は
人が道具を使う
でした。
しかし分業では
道具に合わせて人が働く
ようになります。
さらに機械化すると
人が機械の一部になる
という状態になります。
マルクスはこれを
労働者の人間性の喪失
として批判しています。
📚 この節のまとめ(ポイント)
✅ 部分労働者とは、一つの工程だけを担当する専門労働者である。
✅ 分業によって作業は単純化され、生産速度が大幅に向上した。
✅ 仕事ごとに専用の道具が生まれ、工具はさらに改良された。
✅ 専用工具の発達は、後の機械制工業(産業革命)の土台となった。
✅ 一方で労働者は全体を作る技能を失い、単純作業に従事する存在へ変化した。
💡 わかりやすいイメージ
🍞 パン工場を想像してみましょう。
👨🍳 Aさん:生地をこねるだけ
👩🍳 Bさん:形を整えるだけ
👨🍳 Cさん:オーブンに入れるだけ
👩🍳 Dさん:袋に詰めるだけ
それぞれが同じ作業を繰り返すことで大量生産が可能になります。
さらに、
生地をこねる専用機械
自動成形機
自動包装機
が導入されれば、生産性はさらに高まります。
このような流れこそが、マルクスのいう**「分業 → 専用道具 → 機械化」**という発展です。
**次回(第40回)**は、第12章第3節「工場手工業の二つの基本形態」について学び、分業の
具体的な組織の違いと工場手工業の構造を詳しく見ていきます。

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