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2026年3月14日土曜日

 『資本論』の学習第194回第2巻資本の流通過程第3扁社会的総資本の再生産と流通第19章研究の対象に関する従来の所説第1節重農学派第2節アダム・スミス3不変資本部分4アダム・スミスおける資本と収入

 




マルクス『資本論』第2巻
第3篇「社会的総資本の再生産と流通」第19章
「研究の対象に関する従来の所説」
第1節 重農学派/第2節 アダム・スミス
③ 不変資本部分
④ アダム・スミスにおける資本と収入
の要点解説です。

(※難所として有名なので、できるだけ構造的に説明します。)


■ 第19章の全体テーマ

マルクスの目的:

社会全体の再生産(=経済が毎年どう回るか)を正しく理解するため、
先行学説の誤りを批判する

とくに重要なのは:

👉 社会の総生産物はどのように分解されるか
👉 資本と収入はどう区別されるか


第1節 重農学派(ケネーなど)

■ 基本思想

重農学派は:

「農業だけが純生産(剰余)を生む」

と考えた。

理由:

  • 自然が生産力を与える

  • 工業は加工するだけ

  • 商業は移転するだけ


■ 経済循環の発見(重要な功績)

ケネーの「経済表(Tableau Économique)」は:

👉 社会全体の循環を初めて描いた

主要な三階級:

  1. 生産階級(農民)

  2. 地主階級

  3. 不生産階級(工業・商業)


■ マルクスの評価

✔ 循環という視点は画期的
✔ 社会的再生産の先駆

しかし:

✖ 工業を「不生産」とした
✖ 剰余の源泉を自然に求めた

マルクスは:

剰余価値は労働から生まれる

とする。


第2節 アダム・スミス

スミスは重農学派より進歩しているが、
マルクスは重大な理論的誤りを指摘する。


③ 不変資本部分

ここが非常に重要。


■ マルクスの区分(前提)

生産物の価値は:

C + V + S

  • C = 不変資本(原料・機械など)

  • V = 可変資本(賃金)

  • S = 剰余価値


■ 不変資本とは?

👉 生産物に価値を「移転するだけ」

例:

  • 綿花

  • 機械の減価

  • エネルギー

これらは新しい価値を生まない。


■ スミスの誤り(マルクスの批判)

スミスは社会の総生産物を

収入(賃金+利潤+地代)に還元した

つまり:

👉 C(不変資本)を独立した部分として扱わない


■ なぜ誤りか?

機械や原料は:

  • 誰かの収入ではない

  • しかし必ず再生産されねばならない

例:

鉄工場の生産物の一部は:

👉 次の生産のための鉄になる
👉 誰の消費にもならない


■ マルクスの指摘

もし全部が収入なら:

👉 生産手段はどこから来るのか?

社会は翌年生産できなくなる。


■ 要するに

スミスは:

社会の総生産物の中の
「生産手段として再投入される部分」
を見落とした


④ アダム・スミスにおける資本と収入


■ スミスの区別

スミスは一応:

  • 資本 = 生産に用いられるもの

  • 収入 = 消費されるもの

と区別した。


■ しかし社会全体では崩れる

個人の視点では:

  • 工場主にとって賃金は資本

  • 労働者にとって賃金は収入

👉 同じ貨幣が立場によって変わる


■ スミスの混乱

スミスは社会全体を見たとき、

総生産物 = 収入

としてしまう。

つまり:

👉 社会のすべてが消費されるかのように扱う


■ マルクスの批判の核心

社会的再生産では:

👉 生産手段は消費されず再投入される
👉 それは収入ではない


■ マルクスの結論

社会の総生産物は:

【二つの用途に分かれる】

① 生産手段として再投入される部分(C)
② 個人的消費に回る部分(V + S)


■ なぜ重要か?

これが:

👉 第20章以降の再生産図式(部門Ⅰ・Ⅱ)
👉 資本主義の循環分析

の基礎になる。


■ 一言でまとめると

重農学派

→ 社会循環を発見したが農業偏重

スミス

→ 労働価値論を発展させたが
→ 不変資本を収入に還元する重大な誤り

マルクス

→ 社会的再生産には
👉 生産手段の再生産が不可欠
👉 それは収入ではない

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