マルクス『資本論』第2巻(資本の流通過程)
第3篇「社会的総資本の再生産と流通」第20章「単純再生産」のうち
第6節 第一部類の不変資本
第7節 両部類における可変資本と剰余価値
第8節 両部類における不変資本
を、全体像 → 各節の要点 → 数式関係 → 意義の順で、初学者にも分かるように解説します。
■ 前提:単純再生産と二部類
まずここが最重要です。
● 単純再生産とは
資本家が剰余価値をすべて消費し、
規模を拡大せず、毎年同じ規模で生産が繰り返される状態。
👉 資本蓄積(拡大再生産)は起きない
● 社会的生産の二部類
マルクスは社会全体を次の2部門に分けます。
第Ⅰ部類(I)
👉 生産手段を生産する部門
(機械・原材料など)
第Ⅱ部類(II)
👉 消費手段を生産する部門
(食料・衣服など)
● 資本の構成
各部類の生産物価値は
c+v+m
c+v+m
c:不変資本(機械・原料)
v:可変資本(労働力=賃金)
m:剰余価値
第6節 第一部類の不変資本
■ 主張:I の c は I 自身で補填される
第一部類は生産手段を作る部門なので:
👉 機械や原料を作るのも第一部類
👉 自分の使う機械も自分で作る
■ 例
第一部類の生産物:
I=4000c+1000v+1000m
I=4000c+1000v+1000m
ここで
4000c は、前年に使った生産手段の価値
今年も同じ量の生産をするには
👉 4000分の生産手段が必要
■ どう補填されるか?
👉 第一部類の生産物の中から
4000c
4000c
がそのまま生産手段として戻る。
■ 重要点
👉 I の c は社会内で自己循環する
交換相手は不要。
■ 意義
社会が継続するには
👉 生産手段部門が自己再生産できること
が不可欠。
第7節 両部類における可変資本と剰余価値
ここが単純再生産の核心です。
■ 労働者と資本家は消費する
● 可変資本 v
賃金として労働者に支払われる
→ 労働者は消費財を買う
👉 II 部類の商品を買う
● 剰余価値 m
資本家が取得
単純再生産では
👉 全部消費に回す
→ これも II の商品を買う
■ つまり
I の労働者 + 資本家
I(v+m)
I(v+m)
👉 すべて消費手段を必要とする
👉 II から買う
■ 重要な交換条件
単純再生産が成立するには:
I(v+m)=IIc
I(v+m)=IIc
なぜ?
I の人々は消費財を買う
II はその代金で生産手段を買う必要がある
👉 II の不変資本は I の生産手段で補填される
■ 意味
この式は
👉 社会全体の均衡条件
第8節 両部類における不変資本
ここで全体の循環が完成します。
■ II の c は I から補填される
第Ⅱ部類(消費財部門)は
生産手段を作らないので:
👉 機械・原料は I から買う必要がある
■ 交換の流れ
① I の労働者・資本家
消費財を II から買う
I(v+m)→II
I(v+m)→II
② II はその代金で
生産手段を I から買う
IIc→I
IIc→I
■ つまり
両者の交換は相互補填
I(v+m)=IIc
I(v+m)=IIc
■ I の c は?
I の c は
👉 I の内部で再生産(第6節)
■ II の (v + m) は?
👉 II 内部で消費される
労働者
資本家
■ 単純再生産の全体図
例:
I=4000c+1000v+1000m
I=4000c+1000v+1000m
II=2000c+500v+500m
II=2000c+500v+500m
成立条件:
I(v+m)=2000
I(v+m)=2000
IIc=2000
IIc=2000
一致する → 再生産可能
■ 各節のまとめ(核心)
第6節
👉 I の不変資本は I 自身で再生産される
第7節
👉 労働者と資本家の消費が
部門間交換を生む
第8節
👉 II の不変資本は I から補填される
👉 両部門の相互依存が明らかになる
■ 理論的意義(最重要)
この章の本当の目的:
★ 社会的再生産は市場の混沌ではなく
★ 一定の比例関係で成り立つ
マルクスの核心
👉 資本主義は無秩序ではなく
👉 客観的な再生産条件を持つ
しかし現実では:
👉 この比例が崩れる
👉 恐慌が起きる
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