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2026年3月15日日曜日

  『資本論』の学習第195回第2巻資本の流通過程第3扁社会的総資本の再生産と流通第19章研究の対象に関する従来の所説第1節重農学派第2節アダム・スミス5要約第3節スミス以降の論者たち

 



資本論 第2巻(資本の流通過程)第3篇「社会的総資本の再生産と流通」第19章

**「研究の対象に関する従来の所説」**のうち

  • 第1節:重農学派

  • 第2節:アダム・スミス(要約)

  • 第3節:スミス以降の論者たち

について、学習用に体系的に解説します。


◆ 第19章の位置づけ(まず全体像)

第3篇のテーマは:

👉 社会全体の資本はどう再生産されるか
👉 部門間の交換はどう成り立つか

(=単一企業ではなく「社会的総資本」)

第19章は、その前提として:

過去の経済学者はこの問題をどう考えていたか

を批判的に検討する章です。


■ 第1節 重農学派(ケネー)

● 基本思想

代表者:フランソワ・ケネー
代表作:経済表(Tableau Économique)

◎ 重農学派の核心

👉 農業だけが剰余(純生産)を生む
👉 他の産業は不生産的

社会を三階級に分ける:

  1. 生産階級(農民)

  2. 地主階級

  3. 不生産階級(商人・工業)


● ケネーの画期性(マルクスの評価)

マルクスはかなり高く評価しています。

◎ 初めて社会的再生産を分析した

👉 社会全体の循環として経済を見た
👉 部門間の交換を示した

つまり:

「個別企業ではなく社会的総資本」

という視点の先駆。


● 限界(マルクスの批判)

① 剰余を農業に限定した

工業の価値創造を認めない。

👉 マルクス:
労働が価値を生むのであり、農業だけではない。


② 階級分析が未成熟

地主を中心に据え、資本家・労働者の対立を見ない。


③ 再生産の仕組みを十分に解明していない

交換の流れは描いたが、

👉 価値構成(c+v+m)の分析がない


● まとめ(重農学派)

✔ 社会的再生産の最初の科学的試み
✔ しかし価値理論が不十分
✔ 農業中心の時代的制約


■ 第2節 アダム・スミス(要約)

● 基本思想

古典派経済学の創始者
代表作:国富論


● スミスの再生産論の核心

◎ 商品価値は三つの所得に分解される

  1. 賃金

  2. 利潤

  3. 地代

👉 つまり:

すべての価値=所得の総和


● マルクスの最大の批判

❌ 不変資本(c)が消えている

商品価値は本来:

👉 c(生産手段)+ v(賃金)+ m(剰余価値)

しかしスミスは:

👉 v+m のみ

としてしまった。


● なぜ問題か?

生産には:

👉 原料
👉 機械
👉 工場

などの価値が含まれる。

それは単に「所得」ではない。


● 再生産分析が破綻する理由

もしすべてが所得なら:

👉 生産手段はどこから来るのか?

説明できない。


● スミスの混乱の原因(マルクス)

スミスは二つを区別しなかった:

  1. 個別資本の視点

  2. 社会的総資本の視点


● スミスの功績

マルクスは全面否定ではない。

✔ 労働価値論の基礎
✔ 資本主義の分析の出発点


■ 第3節 スミス以降の論者たち

● 基本評価

マルクスの結論:

スミスの誤りを繰り返しただけ
あるいはさらに混乱させた


● 主な問題点

① スミスの分解説を無批判に継承

👉 商品価値=賃金+利潤+地代

としてしまう。


② 社会的再生産の分析ができない

部門間の交換(I部門とII部門)を説明できない。

※これは第20章以降で本格展開される


③ 資本と所得の区別が不明確

◎ 資本

👉 生産に再投入される価値

◎ 所得

👉 消費される価値

この区別が崩れる。


④ 蓄積の説明が不能

資本主義の特徴:

👉 剰余価値の再投資(資本蓄積)

しかしスミス型理論では:

👉 すべて所得なら消費されてしまう


● なぜ誤りが続いたか?

マルクスの見方:

👉 資本主義の表面的現象に引きずられた

市場では:

✔ すべてが所得として現れる
✔ 支払いとして見える

しかし本質は:

👉 再生産構造


■ 第19章の核心的メッセージ

この章は単なる学説史ではありません。

★ マルクスの主張

社会的総資本の再生産を理解するには
価値の構成(c+v+m)を厳密に区別する必要がある


■ 第20章以降への橋渡し

次章で展開されるのが有名な:

◆ 二部門モデル

  1. 生産手段部門(I)

  2. 消費手段部門(II)

👉 社会全体の均衡条件


■ 学習用まとめ(最重要ポイント)

◎ 重農学派

✔ 社会的循環を初めて分析
✔ しかし農業中心で不十分


◎ アダム・スミス

✔ 古典派の基礎
❌ 商品価値を所得に分解しすぎた


◎ スミス以降

✔ 誤りを修正できなかった
✔ 再生産論は停滞


■ 一言でいうと

第19章は:

「正しい再生産論に入る前に、
これまでの理論はどこが間違っていたかを整理する章」

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